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人里から少しばかり離れ、誰かとすれ違う事も少なくなった道をサイは歩いていた。空は夕日で赤く染まり、夜が近づいてきた。右手には森が、左手には川が流れている。聞こえるのは風が葉を揺らす音と川のせせらぎだけだ。・・・・しかし。

「・・・・はぁ・・・・」

先ほどからもうずっと、背後に人の気配を感じている。その気配はコソコソ隠れるようにして、サイにぴったりとくっ付いて来るのだ。振り返れば木の影へ、岩陰へ、そんな事が続いているのだが、流石にそろそろ気になってくる。

俺が気付いてないと思ってるのか・・・?
と、サイはそう思う。
木の影から僅かに覗いている茶髪・・・もしかしなくとも先ほどの少女・・・アカネだろう。

「おい、まだ用があるなら出てきて言えよ。落ち着かない。」
「うっそ!いつ気付いたの?!」

アカネは心底驚いたような声で言い、影から出てきた。

「・・・・最初からだって。」

体から葉っぱや土を落としているアカネを呆れた目で見た。風体はどう見ても忍であるのに、気配を消すどころかまともに隠れる事も出来ないとは・・・

「・・・・ん?何よその半哀れむような目。」

「いや・・・こんな忍もいるもんなんだな、と思っただけだ。」

「めっちゃ失礼な発言だよ、それ。・・・・ま、いっか。あたしに力貸してくれるんでしょ?」

「・・・・話聞くだけな、聞くだけ。」



・・・・・・・・・・・・・・


二人は焚き火を挟むように座り、向かい合った。

「あたしが追ってる妖ってのは、炎の妖なんだよ。」

膝を抱えて話すアカネは、目の前の焚き火をその妖と重ねているのか、鋭い眼差しだった。



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