「ここはおちんちんアイランド。いろんなおちんちんと出会えるよ! 君にはこれ! 」
 という謎のモノローグをナギが好むアニメの女の子のような声で流しながら大和は腰を揺らす。しっかりと巻き付いたたくましい腕はその程度の抵抗で離れるわけがなく、また足の間に挟まれた熱い塊は大和の動きをうけ、ずくんと脈動する。
 おちんちんの妖精が大和に与えたのは、この股の間に押し付けられた龍之介のおちんちんだった。
 ええ、ええ、そりゃ欲しかったですよ。欲しかったですけど……。
 これは違うんじゃないだろうか? 大和が欲しかったのは目覚めている龍之介の逸物であって、疲れマラだかなんだか知らないが、龍之介の意志に反して人の股に挟まっちゃうような愚息ではないのだ。
 大和と龍之介の現在までの関係は非常に清いもので、お互い多忙の身であるため、二人っきりになれるのは夜のみで、しかも非常に疲れていることが多い。すると必然的に早く帰った方が夕食を作り、一緒に食べ、軽い晩酌をして共にベッドにはいる。それだけになってしまう。
 友人時代から変わったことと言えば、泥酔時のみに行われていたお休みのキスが日課になったくらいのものだ。
 おやすみ。と交わされるキスは学生時代の自分が見たら顔をしかめるようなバードキスで……そう、実はまだ深いキスすらしたことがないのだ。
 だというのに……。バードキスでこちらにも熱が移ってしまいそうなほど赤面する恋人は、すよすよと寝息をたてて大和のうなじに顔をうずめている。かわいいやつ。普段ならそう思っただろう。龍之介の息子がいたずらをしていなければ!
 実体験に基づきしばらくたてば収まるだろうと思っていた龍之介の息子の暴走は収まることなく、むしろ大和の股をベストポジションとばかりに収まっている。流石に耐えかねた大和は龍之介を起こして、トイレに行くことを提案することに決めた。
 十さんはきっと死にたくなるだろうけど、これだと俺も眠れないし……。
 正直、大和にはこのいたずらっ子をよしよししてあげられるような気力は残っておらず、一分、一秒でも早く眠りたかった。
「十さーん」
 控えめに声をかけてみるが寝息はとぎれず、んんっというむずがる声が聞こえたのみだ。
「十さんってば、おい、起きろって」
 腰を抱えている手をつかみ全身で揺らしてみる。
「んー……やまとくん……」
「はいはい、大和君ですよー起きてくださーい」
「んんん……」
 起きているのか寝ているのかわからない龍之介の腕をぽんぽんっとたたく。すると何を勘違いしたのか巻きつく腕の力がいっそう強くなり、ぐいっと腰を密着させられた。自分の背中に龍之介の腹筋があたる感覚に、大和は慌てる。
「ちょっ……と! おい、ああもう……」
「ふふふ」
 ふふふじゃねえよ……。
 どうも幸せな夢を見ているらしい男が起きる気配は一切なく、寝言の端々に大和の名前や、彼の故郷の言葉が聞こえる。どうしようか、ぼんやりと悩む大和に降ってきたのは眠気に絡め取られていなければ笑い飛ばしてしまうようなものだった。
 いっそ一回イかせたら起きるんじゃないか?
 一日の仕事を終え疲労しきった脳にはそれがとてつもなく冴えたやり方のように思え、大和は完全勝利を確信する。イかせる、しぼむ、眠れる。完璧だ。
 そうと決まれば大和の行動は早かった。内ももに力を入れ腰をゆっくりと揺らす。布地越しの疑似的な挿入はもどかしく、くすぐったい。
「んっ、んっ」
 刺激を受けた龍之介の息子は質量をまし、ズボンの布地を押し上げる。
 ああそうか、このままだと下着汚しちまうな。行動に見合わぬ冷静な思考で大和はそう思った。龍之介の眠りを妨げたいわけではない。妨げられなかったとしても、朝一でこの色男にパンツを洗わせるのはどうも気が引ける。
 うーん。少し悩んだ後大和は、腰を浮かし後ろに手をまわし、ズボンの端に指を引っかけ下着と共におろした。
 待ってましたとばかりに飛び出て大和の尻にぶつかるそれはもはや愛おしくもある。びくびくと拍動しているかのように熱を持ったそれをまるで自分で挿入するかのように、太股の付け根にあてがい、腰を押しつける。
 あ、これだと俺のパジャマが汚れる。そう気付いたときにはもう遅く、龍之介の切っ先からこぼれた滴が染みをつくった。
まあいいか……と腰をゆさぶれば、遮る布地の減った事ためか、視覚的な刺激のせいか、作業的だった行為がだんだんと色をおびたものへと変わっていく。
 龍之介の口から漏れる悩ましげな息も大和を高めていく。俺、寝てる十さんにこんなことしてる……キスだってまともにしたことないのに、こんな、寝込みを襲うようなこと……。もはや眠気など感じなくなった大和は、必死に息をこらえながら、腰を落とし、龍之介のそれで自分の陰嚢をこする。女性であれば穴がある場所を亀頭がえぐろうとするその感覚にぶるりと身が震える。皮膚を越えその奥にある小さな部位がきゅっと主張をはじめたようだった。
「っぅん……っ……あっ……」
 自分のモノが立ち上がり、龍之介のそれに押し付けられたことで布地のなかで右へ左へ逃げているのがわかる。今すぐズボンをとりはらって直接さわれたらどんなにか気持ちいいだろうか。ごくっと唾を飲み込み己のズボンに手をかける、ぐしゅっと塗れた音を立てながらふるふると震えるそこをつかもうとしたその時、大和の手は止まった。いや、龍之介の手によってとめられた。
「へっ」
「大和君」
 背後から吐き出された、低く甘いかすれをもった息を感じ、ぎゅっとふとももをこすりあわせると、熱いものが股の下ではじけた。


「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -