新年の番組で催眠術にかかり、猫になってしまった大和くんを見た俺は、通販で買った催眠術の本を大和くんに試してみることにした。猫の大和くんは可愛かったが、どうせなら他の動物も……とウサギさんになる催眠だ。
 結果は大成功。怪しい催眠術らしく語尾にぴょんをつけ、見つめただけでも感じてしまう大和くんをそれはおいしくいただくことができた。
 しかしひとつだけ誤算だったのはその本には催眠術の解き方が書いおらず、なんとか試行錯誤した結果。俺以外には反応しないウサギちゃんに大和くんがなってしまったのだーー

「って、まるっきりエロ漫画だよな」

 これまでの経緯を思い出して龍之介はため息を付く。話に聞く限り仕事には問題はないらしいし、変わったことと言えばラビチャが頻繁になったことと、毎晩大和くんが訪ねてくること(曰く会わないと体調が悪い、らしい。三日ほど会えなかったときにはレッスン中に倒れてしまった)
 それと一番困るのは……

「おい龍、今日の収録アイリッシュセブンと一緒らしいぞ。よかったな」
「え、それって大和くんもいるって事? 」
「そりゃ……全員いるだろうよ。なんだ?お前顔色悪いな」

 さっと血の気が引くのを感じた。だって大和くんは……

「ちょっと、大和くんと話してくる」
「ちょっ、ま!おい、龍! 」
「放っておきなよ。今何言っても脳味噌お花畑なんだからなにも変わらないって」

 後ろから天に投げつけられる、辛辣な言葉に、違う、違うんだ!と弁解しながら、大和くんにラビチャをとばす。

「今どこ」
「トイレ」
「今から行くから待ってて」

 狭い廊下を競歩で進み、トイレにはいると一番奥の個室だけが半開きになってる。そこに身を滑り込ませ、鍵を閉める。

「大和くん」
「つ、十さん……」

 彼は個室の中で私服のままうずくまっていて、その体は小刻みに震えている。俺が声をかけるとおずおずと顔を上げ、視線が絡まったその時。
 ぷしゃっ
 個室内に水音が響き、大和くんの顔は茹で蛸のように赤くなっていく。

「あーあ……またやっちゃったか……」
「っふ…だ、だって十さんが俺のこと見るからぁ……」
「ごめんね、でもこれじゃあ番組出られないよな」

 へなへなと床に倒れ込みそうな大和くんを持ち上げ、座面に座らせる。彼の股間には大きなシミができており、まずはそれをなんとかせねばなるまい。

 そう二階堂大和は、飼い主に見つめられただけで妊娠するうさぎよろしく、十に見つめられるだけで射精してしまうようになってしまったのだ。

 取り合えずとズボンとパンツを脱がせ、トイレットペーパーで精液をふき取る。その間にも彼の逸物は質量を増しふるふると震えだした。

「あっ、ああ」
「ちょっとは我慢してよ。俺もう衣装なんだからこれ、汚されちゃうと叱られるんだ」
「ごめんでも……十さんに見られてると思うと俺……」

 とろとろとした瞳でこちらを見てくる大和に、思わず唾をのむが、このまま二人とも消えたのではメンバーに迷惑をかけてしまうと、己の息子を叱咤して深呼吸で沈める。

「とりあえず、収録の間だけ我慢して。俺はそっち見ないようにするから」
「うん……」
「っていってもダメだよな……大和くんは俺が見てるかもってだけで気持ちよくなっちゃうし……」
「面目ない」
「じゃあ最終手段。これ」

 俺は、ポケットから太めのひもを取り出す。それを見た大和くんの表情がひきつったのがわかった。狭い座面の上をずりっと後退する。

「お前さんまさか……」
「そうだよ。我慢できないなら止めとくしかないじゃないか。空イキなら服汚れないし」
「お、お兄さんにもプライドが……」
「じゃあ、みんなの前で射精しちゃうの?俺は良いけど、それだと大和くんのフォローする子たち大変だよね」

 それに大和くんが変態だってバレちゃうけど……いいの?
 公衆の面前で恥をかかせないために用意した案を拒否されそうになって少しムキになってしまったが、最後の言葉に大和くんがぐっと言いよどんだのがわかった。
 大和くんはメンバーに迷惑をかけることを何よりも嫌う。そのことを知ってしまえば彼の手綱を握るのは思ったよりも簡単だと気付いたのは最近。

「わかった……頼む」
「うん。やりにくいから、大和くんのちんちん上に持ち上げて貰ってもいい? 」

 そんな恥ずかしいお願いにも、うーっとうなりながらも素直に従ってくれる。これがあの子たちへの愛かと思うと少し嫉妬してしまうが、それよりも顔を真っ赤に染め、目をそらしながら自身のものを支える大和くんの破壊力が問題だった。
 自分で言っておきながら、これは……絶対、今晩もう一回やってってお願いしないと。
 出演時間も迫っていた。震える手で、下生えを避け、根本をきゅっと締め上げる。そして、裏筋の上で固結びをして、余った紐を小さめのリボンにする。
 ほぅっというため息が漏れる。根本をせき止められて羞恥に揺れるそこは、はくはくと息をするように震えていた。視線が辛いのか大和くんの太ももにそこが嵌まれる。

「っは……もう、いい? 」
「え、う、うん!衣装持ってる? 」
「持ってる。着替えるから出て行って貰っても良い?流石に狭ぇわ」
「わ、わかった!外で待ってるね」

 個室から飛び出て、壁に頭を打ちつけた。痛みでもなんでもいいから熱を逃がしてくれと願ってそれを数回繰り返す。
 あれは、あれはダメだろ……すごい変な気持ちになった。大和くんに関しては俺もたいがい変態だな……。あの格好で収録してるかと思うと俺の方がイッちゃいそうだ。
 深く深呼吸を繰り返しなんとか血液を逃しながら、あの紐を解くのは自分にやらせて欲しいと大和くんに伝えなければと決意して、洗面台のコックを一気にひねった。



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