Re:CREATORS | ナノ



そして世界は邂逅する


「ーーーだからっ、なにもかも突然で、得体の知れない気持ち悪い人間だと思うけれど…私とお友達になって下さい!気を失ったのに、長話に付き合わせてごめんなさい!」


その勢いに、思わず噴きだした。突然、笑いだす私にまみかは硬直した。膝の上から起きあがり、硬直したままのまみかへ手を差し出す。何が何だか分からないという表情のまま、私の手をとった。

木々の合間に移動していたのか、木漏れ日が心地よい。何から話せばいいのだろう?まあ、いいよな。時間はたくさんありそうだ。帰路はゆっくりとつこう。怒られるのは承知の上で。ずっと大人しく見守っていた相棒に、ちらりと視線をやる。仕方ないなあと、言うように鳴いた。

「あ、あのアリステリア…さん?」

首を傾げながら困惑の表情は、あの世界で見たことがあったか?そう呼ばれることは?細かいことは気にするのはやめよう。

「煌樹まみか」
「え、はい!」
「私は其処許≠まみかと呼ぼう」
「!」
「だから、私のことを好きに呼べばいい」
「もし、かして」

あの世界で呼んでいた言い方で伝える。記憶を照らし合わせて、さあ、もう一度名乗ろう。今度は私から、其処許に頼もう。

「私の名はアリステリア・フェブラリィ」
「え、え?」
「ーーー私の盟友≠ノなってくれないか?」
「………!」

「其処許の言う友達≠ニ私の言う盟友≠ヘ意味合いは少し違うが、どちらも大切な者には変わりないだろう?なあ、まみか」

言い終える前に、まみかは私に抱きついた。その衝撃を堪え私も抱きしめ返した。鎧で潰してしまわないように。

「ーーーーー…アリスちゃんっ!アリスちゃんなんだねっ!でも、どうして!?何があったの!!?私がお話したら、思い出したの?気を失ったから?嬉しすぎて、もうわかんないよ!」
「まみか、ずっと覚えてくれてありがとう。私は夢だと思っていた。だが、知っていたんだ。私は其処許を知っているんだ。ずっと前から」

懺悔のように呟く、これからは誤魔化すのはもうやめにしよう。



急に、まみかは私から離れ、両手を掲げ私に差し出す。

「アリスちゃん…そんなに悲しそうな顔をしないで?ーーーお願い、笑って……アリスちゃんーーー」

木々の木漏れ日から、降り注ぐ光の中。何もなかったその手元に光が集まり、小さな花束が現れた。

「ふふ、びっくりした?これは微笑みの花束」

悪戯が成功したような顔で、笑っていた。私も薄っすらと口元が緩む。

「私は、今とても嬉しいの!話したいことがたくさんあるの。聞きたいことがたくさんあるの。えっと、問題は山積みだけど…私も不法侵入者?だし…」
「なんとかするさ、ところで、こんなところでいつまでもなんだ。私の城に招待しよう。実は、こっそり抜け出してきていたんだ」
「ええ〜!?そ、それって大丈夫なの?」

他愛のない話しながら、私たちは出発した。



もう私たちの物語≠ヘ一通り終わっている。
はたして、あの世界で記されているのか。それは知らないーーーでも、私たちは生きている。こうして、会話をもう一度交わしている。新たな困難が生まれてしまったが。



私たち≠ネら、乗りこえられるだろう?



最果てで『世界』は邂逅する


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