Re:CREATORS | ナノ



狭間で意識は揺蕩う


ーーー…アリ……ス…!

必死に呼ぶ声音。

(起きなくては)

誰かが自分の名前を呼んでいるが、意識がはっきりせず起き上がれない。

己は今、どうなっている?

疑問が浮かぶがそれすらもままならない。何か長い夢を見ていた気がする。それは、様々な激情に揉まれながら暖かくもあり、背を押し、押し返してくれたーーー思いだせない。戦っていた、ようだった。決して曲げられないモノを抱いていた。

(思いだせない。私は何をしていた?)

今思いださなければ、もう思いだせない。そんな不安がよぎった。……可笑しな話だ。不安を抱いている場合ではない。私にはやらなければならないことがある。民達を守らなければ。ウンターヴェルトを倒さなければならない。

呑気に寝ている場合などではない!!

『アリステリア殿!!!』



『ーーーアリスちゃん!』

目を覚ます狭間で少女の姿を垣間見た気がした。



「ああっ……!アリステリア殿…安心しましたぞ…よく戻ってこられました…!」

目を覚ますと、一緒に戦っている仲間や臣下の騎士たち、多くの者たちに囲まれていた。その光景に瞳を瞬かせた。

「……すまない。私は…どれくらい…意識を失っていた?」

寝台から起きあがる。自身を見える範囲で見れば、そこら中に包帯が巻かれていた。可笑しい。私は確か槍に貫かれたはずだ。これは、中傷程度だ…重症、もっと酷いはず。

「アリステリア!無理に起き上がらないで下さい!何日も意識不明の重体だったんですから!」
「ウンターヴェルトの襲撃により、瀕死だったのですよ…貴女は」

仲間たちの言葉でだいたいの状況を把握した。私はまだまだ力が足りないーーー抱いた違和感は心に仕舞おう。

「…そうか。私が意識を失っている間、大変だっただろう。本当にすまなかった。私はもう大丈夫だ」

涙目で心配してくれる者たちに笑いかける。それに返すように、無茶しすぎなんです!と怒られた。泣きだす者までいて、申し訳ない気持ちになった。


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