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僕がいない私のいる世界/加代・広美編




《平行世界の出来事?》16/7/31



この世界での、僕の性別は女。ただし、精神は男の藤沼悟

僕という存在に入れ替っており、男とも女ともはっきり言えない状態。しかし、何も知らない周りから見れば僕は女の藤沼悟≠セ。僕という精神の存在が入れ替わる前に、確かに女の子の藤沼悟がいたのだ。

なら、彼女はどこに行ってしまったんだろうと、いくら考えてもわからない。もし、僕がここにいることによってなんらか原因で消滅してしまったのだとしたらーーー後味の悪い想像ばかり考えた。

いつか、目的を達成してなくなったリバイバルのように。
僕は元の世界に戻るために何かをしなければならないのだろうか。

諦めて、諦められない。

僕がいた世界。




ひとまず、今わかっていることはこの世界の藤沼悟≠轤オく振舞うことだった。

まあ、小学校進学とともにじょじょに服装ボーイッシュ系やら元の趣向に変化していってたり、性格をこの精神の方を少しづつだしていってるのもあるし、なんせ母親は妖怪サトリ違った、観察眼の鋭い人だ。もうごまかすのがしんどい、じゃなかった。薄々勘付いている気もするので、ヘタな小細工をするのは諦めた。意表をつけたのも後にも先にも高卒認定ぐらいだったような。

なるべくオンナノコらしく、オンナノコらしくと、もはや暗示の域へと到達していた。最近は開き直ってやろうかとも、思っている僕に悩みはつきない。だから、あの現場に偶然居合わせ、積りに積もった鬱憤が爆発した仕方のないことだと、言い訳しておく。



その場面に遭遇したのは、掃除のゴミ捨てに行っている時だった。もう少しで着くというところで、なにやら騒がしい。誰かをからかっている複数人の声が聞こえる。声のトーンから察してタチの悪い部類と判断した。

(うわ、これって)

こんな場面に遭遇してしまうのは、加代以来だ。あの時は見て見ぬ振りなんて選択はなく、結構強引に場をおさめたから、一時大変だった。今は落ち着いているが。

(・・・先生にはチクろうか)

先生は先生でも、八代ではない。この学校に奴はまだいない。
でも、もしこんなことがあったらうまくやるんだろうな、とは思う。

今回も加代の時と似たようなものだろう。毎回、しゃしゃりでたくない。

「やめてよ!僕は男だよ!」
「本当のことじゃん。お前って女みたいな顔してるもんな」
「そーだべ!そーだべ!」

どう聞こえてもイジメられている、よな。やっぱ、直接止めた方がいいのか。でも、この状況で女≠フ僕が庇いに行くのはよけいに増長させてしまうんじゃ。

(教師は通り道に何人かすれ違った。悩んでいるより、早いところ呼んで)

「そうだよな〜杉田!」

(・・・ん?今、杉田て)

「名前だって広美=v

(広美?イジメられているのはーーーヒロミ!?)

どういうことなんだ。確かにヒロミは小学校の頃、容姿でからかわれることはあってもこんなことは、なかったはずだ。もしかして僕らの知らないところであった可能性も?




思わぬ人物の登場により動揺する僕をよそに、その場にまたも思わぬ人物が現れた。

「集団でよってたかってしか、行動できないあんたたちの方が女々しいべ」

「あ?なんだよ、雛月」

僕は今、ヒロミと加代といじめっ子という現場に遭遇している。




この後、二人が気になって結局その場に姿を現す悟→いじめっ子、ヒロミと加代を馬鹿にする酷いことをなんか言う

「男とか女とかカンケーねだろうが!大事な友達を守ることにどこがかっこ悪いんだよ!!集団で寄ってたかるテメーらの方がよほど情けないだろうがっっつ!」

ブチ切れた悟さん、女子と思えないドスの効いた声で、男子硬直。ヒロミ硬直。加代、またか・・・と言う目で見ているの図が展開される。

「な、なんだよ!こ、この男女!」
「お、女みたいな奴とお、お似合いだよ」
「ヒュ、ヒューヒュー」
「好きなように言えばいいだろ。二人とも行こう」
「えっ!?うん?え?」
「に、逃げるのかよ!」

「逃げる?ーーーいいか、お前ら。今度、ヒロミや加代にひどいことしてみろ。容赦しないからな」

盛大に声に出て、ギリギリまで猫被ってもう我慢できなくなり俺≠セった頃の部分が現れた藤沼悟。噂はまことしやかに囁かれ孤立が加速するけれど、加代とはもっと距離が近づき、ヒロミとは友達に。そして、カズやオサム、ケンヤともまたーーー友達になれる日が近いとは悟は知らない。


「悟は生まれてくる性別まで間違えたんじゃないべか?」
「藤沼さんて以外と・・・僕もそう思ちゃった」
「・・・ソウダネ」




サブタイトル《彼に彼女を演じるのはムリだ》

八代先生が出てこない件!



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