その他シリーズ | ナノ





夜這いを仕掛けたけど失敗した話

審神者≠ノなって、早一年。

やることはたくさん有るけれど、戦績もそこそこにして平穏に暮らしている私。
なかなか現世には帰れないけど、家族と月に一回は会えるし電話もできるからまあ、いいかと思ってる。どういう仕組みかわからないけど、通販ができるからだいたいの物を揃えられるし手に入れられる。趣味の本屋巡りが気軽にできなくなってしまったのはちょっと残念だけど。

刀剣さん達との関係は私は良好だと思ってる。だけど、あちらには毒舌系タイプとか少々性格が厄介な方達いて、あっちがどう思ってるかまではわからない。うーん、でもなんだかんだ世話は焼いてくれるし見放されてはいないから、嫌われてはいないだろう。とりあえず、仲良くしていきたい。ので、よく一緒になって遊んだりする。主に脇差と短刀と一部打刀。 この前、通販で金に物をいわせてゲーム機器全種と液晶テレビ特大とソフト、DVD、その他玩具を衝動買いしたら喜ばれるどころか太刀勢を筆頭に全刀剣に怒られた。あと、政府にも怒られた。

大人買いて思ったよりあっさりしてて、もう二度とやりません。欲しい物のために、貯金して楽しむのも醍醐味だと理解しました。怒られたからとかじゃないから!

もういい年になる私だけど、昔から周辺に、どこか抜けてる隙がありすぎる等なんか頼りないと評され続けた。家族が言うには、もうこの性格は物心ついた時かららしく矯正は諦めてると断言された。でも、見捨てることだけはしないから少しずつ成長しようねと見守ってくれている。感謝してもしきれない。そういうわけでなんやかんや言われるけど、私はだいぶ周りに恵まれてると思っています。

そんなんで審神者になれたよねと言われるけど、時の政府とやらに誘拐されて色々あって今の状態になった私にはさっぱりわからない。私が聞きたいわである。力があるから選ばれて、中には神様に蛮行する輩がいるくらいだから、性格てあまり重要視されてないんじゃないかとすら思う。時の政府は、わけのわからないことをする。それは上層部であって、下っ端の人達は結構いい人たくさんいるけど。いつの世も、現場で働く人間の方がーーーていうのはあるのかね。上層部にも良心的な人はいるみたいだけど、いまいち政策がな。 で、話が盛大にズレた。

このように危機管理力に乏しい私だから、刀剣さん達がよく注意する。
女の子なんだからもう少し危機感持てだの、なんでもかんでも率直に本音を言い過ぎだの、オカン力を高める刀剣男士達。 私のことはすっかり主じゃなくて、子供扱いである。まあ、別にいいけど。でも、それがもしかしたら今回の事件を引き起こす引き金を引いていたのかもしれない。

先日、我が本丸の鶴丸国永さんに夜這い?を仕掛けられた。




あれは、気持ちよく爆睡していた時だった。

なんか、あったけーて夜中に寝惚けて、後ろを見たら鶴丸こと鶴さんがいた。細身の癖にがっちりと抱き込んだ腕に、驚く。笑いを押し殺したような声で、驚いたか?と無駄にイケボで囁いてくるので、うん驚いた驚いたと返せば・・・はあ、とため息つかれた。ため息吐くと幸せが逃げるよ?と思った。それより眠たい。夜中に男が忍びこんで来ているのになんだその反応は、と怒られる。いやお前がなんで怒るの?その声をBGMに、またうとうととしはじめる。鶴さんの声質て結構好きなんだよね。

鶴さんが隙があるすぎるのも考えものだなぁ、と何を思ったか腰と腹回りを意味深に撫でてきて感触にさすがにびっくりしてたら、くるっと向き合うように体の向きを変えられた。

「俺が君の体を暴いたら、どうする?」

艶やか声色でまた囁いてくる。暴くて、破廉恥なことするつもりか。サッーーと血の気が引いた気がした。ここまでされたら理解して眠気がぶっ飛ぶ。別に、鶴さんなら・・・ていう少女漫画の展開にはならない。

「ほらっ、じょうだ」
「つ、鶴さんも男だったの!?」
「男っていってるんだが?あと冗談だ」

高まる謎の雰囲気に耐えきれず、小声だけど叫んだ。タチの悪い冗談ね!内心、祖父(の雰囲気)に似ているからこそっと重ねていた相手だ。冗談といっても、やっぱりこんなことされるとビビる。めっさ綺麗な容姿してるしまったく違う世界の住人と思ってるので、そういう対象に捉えてなかった。刀剣達が綺麗どころ多すぎて、毎日拝んでいるくらいですよ。毎日、目が潰れそうなんだよおおお。 男なのかとそう認識させるため?オラオラッ、アウトっーーー!深夜のテンションで、思考◯路はショー◯寸前!

「君は少し気をつけようか?君の日頃の態度は考えものだ。一応、女の子で周りは男ばかりなんだ、間違いがあるかもしれないからな?」
「え?これも間違いじゃないの?そろそろ離して布団から出ていけー」

そう言うわりには、ずっと抱きしめられたままである。艶やかな雰囲気は無くなったが、腰を撫でる手の感触がまだあるよ。いい加減止めろよ、セクハラ反対!


「いや、こうじっくりよく見ると女≠ネのか、と」
「いや、お前が改めて認識してどうするんだ。お巡りさんこいつです!」



不穏な発言に、思わずツッコんだ。普段からスキンシップがやたら激しいのに、何を今更。まあ、子供扱いだし。それでいいんだけど今回のはヤバイ?

「なあ、お嬢さん」
「うん?」
「このまま俺とどうだ?」

目ん玉が飛び出るかと思った。どうだ?て、え?、どうだ?えええ。


「沈黙は肯定と受け」
「鶴さんは、私と性行為したいの?」
「・・・え?」
「え?いや、女に見てるの?見てるの!?めちゃ衝撃的に事実!!」

今の状況で、言うべき言葉ではないが今後の関係に支障をきたす。はっきりしておかないとですね! いざとなったら、刀装兵や妖精や短刀とかみんな呼ぼう!呼べなくなったら、うん。いやさせねーよ!和睦、和睦することに努めよう。

「この状態ではっきり聞くのがお嬢さんらしいが・・・女としては見てない。何もしないさ。驚きが遅すぎるぜ?」
「よかった。あと夜這いもどきしてる時点ですでにアウトやで」
「ちょっとは傷つかないか?まったく抵抗してない君が言ってもな?あ、あとな雰囲気に流されそうになった」
「雰囲気で私は貞操を喪失する危機に陥ったの!?といいますか抵抗してるじゃない!言葉という拒絶で!それと夜中に騒ぐとお母さん怒るし、それこそ朝まで寝かせてもらえない」
「説教でか?燭台切に怒られるからて、危機感を抱いて欲しかったんだがやりすぎた。すまん」
「私の疑問には返答なしか。もう充分に危機感抱いたよちゃんと気をつける。もしかして私の行動てそんなにやばかったの・・・そうだったら、ごめんなさい」

反省してるけど、やり過ぎな気が。昔もこんな騒ぎあった気がするけれどもしかして物凄くみんなを困らせていたのかな。もう腰を撫でる感触はないし、返答はあまり納得できないけど、とにかくこの件は終わりにしたいところなんだけど。

「自分の部屋に帰って寝たほうがいいよ?て、鶴さん?」

がっちり抱き込んで離さない男≠ノ困惑する。そういえば、こう面と向かったの久しぶり。夜闇に慣れてじっくり見てみた。あ、やっぱやめよ。至近距離で美形の顔見るなんて自殺行為だ。別の赤色の液体で彼を鶴にしてしまう。 何もされないとなったら、もういいや。追い出すのはやめよう。胸板に顔を押し付けて、眠る体制を取る。うおっ、めちゃいい匂いする。なんで、刀剣さんてスペック高すぎるの。いや、神様だもんな、仕方ない。

「最終的にこういう展開になるような気がしていたが・・・もう俺もどうでもよくなってきたよ」
「気がしてたんかい!うん、まあでも昔みたいでたまには良いかもねー」
「他の奴らにもかい?」
「まず、このようなことを仕出かすのはあなたしかいません。でも、もし、太郎さんとかでかいけど、私サイズの布団に入るのかな?」
「認識がまだ乏しいぜ。そして例がよりにもよって太郎なんだ。あれがする訳ないだろう。君のお父さん四号だろう?ただし、確実にはみだすな」
「だよねー。まあ、とりあえず寝ましょう。朝になったら怒られましょう。おやすみー」
「そんな潔い諦めはやめようか・・・まあ、俺も眠たくなってきたしな、おやすみ」



寝たふりをして数十分経て、相手が完全に寝たのを確認する。夜闇に目が慣れて表情を見ると、意外とあどけない寝顔をしている鶴丸。状況が状況なのに軽快に会話を思いだす。

あれか。

(昔からだいたいこんなことする時って、寂しく感じてる時なんだよな)

うちの本丸の鶴丸国永。ある一定放置すると構って欲しいのか、私にちょっかいをかけるのがヒートアップする。掲示板で見たら個体差らしいけど。

(眠ってる時は可愛いのに)

煩悩を抱きながら、頭をひと撫でして私も眠りについた。まったく、難儀な性格してらっしゃる。



今回の事件の全貌。
ご察しの通り保護者系刀剣達に発見され見事な雷が落ち、私は正座によって足が痺れて動かなくなった。鶴さん?祈祷組に締められていたよ。あの人達怖い。

こうして、日頃からの危機感の無さが起こした夜這い未遂事件は比較的平穏に終幕した。
振り返ってみると、私の方が危ない人のように思わなくもない。以後、気をつけます。




15/6/6

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