その他シリーズ | ナノ





もう一度初めから始めよう九

奇襲をかける前に、時間は遡る。

「大変だーー!じっ、 み、三日月が門を破壊して出てちまった!」

いつもの明るい様子は見られない。顔を真っ青にした獅子王が、そう叫んでやってきた。


「なんだって!誰も止めなかったのか!?」
「どうしてそうなった・・・一体何があったんだ!?」

「止めようとした山姥切が、巻き添えくらって道連れになったんだよ!あと、ついでにあの三名ついて行くという事態だ!」

「山姥切さんまた巻き込まれたんだ・・・」
「いつもの冷静さは何処に行ったんだ!三日月さん!」
「やはり主が放り込まれたのが余程だったんだな」

「三日月て、三条が見てたんじゃないのか?」
「石切丸が見習いの話を聞いているし、小狐丸はついて行ったし、今剣と岩融が監視の目を緩めるなんてことも・・・」

現在進行形で、本丸の中はいつもと違う喧騒に包まれている。
ここの担当の政府の役人とようやく連絡がつき、出て行ってしまった審神者の行動、その所在はブラック本丸≠ノ放り込まれたと聞いて、本丸内は待機か救出の選択でおおいに荒れている最中での報。一触即発の状況は、それどころじゃなくなった。

「悠長に話してる場合じゃないよね!?」
「ん?では、本丸からは出られるのか?」



あちらこちらはで聞こてくる声を聞きながら、お茶を一口含んだ。それぞれの動向を把握しつつ、向こう側の端から、鶴丸が歩いて来る姿見えた。真横に座り腰を下ろした鶴丸が口を開く。

「どっこらせっと、鶯丸、三日月が全力疾走で門を蹴破って行ったのを、きみは把握してただろう?」

「先ほど山姥切を引っ付けた三日月が、全力疾走で門の方へと向かっていく光景見た。居ても立っても居られずの行動だ、あれは」

「・・・少しは止めようとしろよ」

妙に遠くの方を見る表情で呟いている。

ある程度は覚悟していたはずが、審神者が立ち去った後の広間での乱心は、あきらかに普段の冷静さを欠いていた。余程の後悔がそうさせたのか。

三日月は普段から、主に関することで突拍子もない行動をとる。しかし、距離を保ち見守っていたことは本丸共通の認識だった。これに関して、あれは隠れているつもりなのだろうか?とも疑問も付属しているがーーー三日月宗近はのほほんとした雰囲気持つ奴だが、自分の起こしたことについて責任はとる男だ。

茶を飲みながらそんな、思考にふけていた。

「今回の件はきみの一言も原因だと自覚しているんだよな?」

「自覚はしてある。一悶着はあるとふんでいたが、ここまで大騒動になるとは・・・すまない」

「いや・・・きみを責めるような言動も筋違いだな。乗っかった俺たちにも責任は充分ある。こんな心臓に悪い驚きは二度とごめんだ」


しかし、その件はすでに話し合い済で納得は済ませていた。目を細めて深いため息を一つはきだす鶴丸は、少し憔悴している。

現在、石切丸が見習いに知っていることを聞いているのと、こちら側の話もしている。
この騒ぎは時期にあちらにも伝わるだろう。



「終わり良ければ全て良し、と言わないか?」

「悪い方向に終わらないのを祈るぞ・・・さてと、後々反省することにして、今はせっかく門も開いたことだ。いつまでもうじうじしてるのも性に合わん。俺たちも三日月の後を追うぞ」



そして、考えるまでもなくやることは決まっていた。
このまま終わらせるつもりはないのは、俺たちもそうだった。



16/9/11

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