その他シリーズ | ナノ





もう一度初めから始めよう七





「怒っているのか?」

山姥切が罰悪そうに聞いてくる。
周辺の音は聞こえず、荒縄で縛れらた三人が居て目の前に左文字の長兄いたが、気のせいではなかったか。

「・・・怒ってはいた」

怒ってないといえば嘘になる審神者に対してのあの行動も呆れてはいる。一方的に三日月が告げたのは前提として、それでも会話をする以前の問題だった。

あの言葉があったからこそ信じていた。誤解をさせるが最後まで聞いてくれるはずだと、そのあと審神者がどのような決断を下すのか覚悟をしていた。

何も聞くことはなく見習いへの譲渡に硬直した。それに怒りが湧きあがってきたのは自身でも驚いた。そして閉ざされた扉が、冷静さを取り戻した。

できることはした、と鳴狐には言った。
それは自身にも言いきかせた言葉。

「山姥切」
「なんだ?」

「お前を連れていた三日月がいない」

「・・・俺の布を持ち去ったあとどこか行った。あいつの所だと思われる」
「そうか」

被った布の隙間から瞳がちらりとあったが、後ろへとそらした。

後ろ確認すれば鳴狐がいない。お供の狐が言葉を発していなかった。
このさい三日月と話しあう機会と思った方が良いだろう。うまく会話になるかは別だ。

三日月と鳴狐どっちが出会うのが早いか。

見習うから聞いた本音と、担当者の人間からもたらされた彼女の現在の情報。
失敗したと誰かも後悔はしている。

もう一度この先にいる審神者との最後の対話ですべてが決まる。
俺たちがどうするかは答えは決まっていた。





感情をあまり表にださない鳴狐も、俺も関係を築くのが下手だ。
周りに足りないところを支えてもらってそれに感謝している。

記憶がなくても、昨日がなくても、なんとかなる。

兄弟や他の刀剣たちが、教えてくれてそう思わせてくれて。




ここから少しづつ始めようと言ってくれたのはお前だろうーーー主。



16/3/27

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