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かみさまの救済




昔から父親は権力や名誉に固執する人だった。

家庭を省みずいつもそればかりを優先した・・・母も私もただの道具としか考えていないだろう。それに両親の仲も冷め切っており、母親の方も好きで父親と結婚したわけではないと後で知る。
(そんな母だが最低限の愛情は私は貰えていたのかもしれない)

今回の審神者≠ニいう職業に就くこと、私に箔をつけるためだと言いながら自分の経歴の一つとして考えているだろう。政府との結びつきを強くする為に。

それでもいいと、少しでも認められたくて頑張って理想の私≠演じてきた。 でもーーー結局それは何の意味も、私とって何の意味も。

無意味だ。

どうせもうあの父から逃げる術を持たないのだ、そう思いこんで決めつけて言われるまま従うだけ。この先ずっとそうだと思っていた。



何の行動もとらない私に、研修で来たその本丸はとても暖かな場所だった。

刀剣男士達は私に色々な事を教えてくれて、当たり前のことなのに褒めたり認めてくれてそれがくすぐったくて嬉しくて。家にいた時とは違いすぎて世界が本当に変わったようだと思った。ただ、ここの本丸の審神者の子に少し苦手意識を持たれていたのか、その子は刀剣男士達に私の研修の世話を任せていたと思われる。

正直一本丸の審神者としてどうなのかと思ったけれど、刀剣男士達は少し不器用な人≠セと言い優しげな瞳で笑っていた。その瞳があまりにも、優しいものだから。 研修会で刀剣男士の性質は審神者によって少々変化する≠ニいうような事を言っていたのを思い出した。 それが・・・本当かどうかはわからないけれど、彼らの言っていた通りその子は不器用ではあるけどちゃんと審神者の責務をはたしていた。

避けられていると思っていたが、気遣われている部分もあることに気づいてから、時間はかかるかもしれないけど研修が終わる頃にはうちとけれたらいいなと思った。


研修はとても楽しかった。いや、戦争中にこんなこと思うのはとてもおかしいだろうし駄目だってわかっている。(安全は保証されていても命をやりとりしている場に何の知識もなしで行くに恐ろしくありったけのことは学んできた)


自分の本丸を持てば、ずっと願っていたことーーー叶えられるかもしれない。

彼らみたいな・・・いい関係を築くことができるかもしれない。そう考えるととても楽しくて、審神者のあの子の仕事を思わず研修以上にしてしまった。



そんなことをまだ夢にみていた。



あの広間で彼女の言葉を聞くまでは、そのこと知らなかった。何も知らされていない。

ここの刀剣男士達は聡い。今もこんなにも主のことを心配しているんだから。





一人の刀剣男士が私の前へと来た。

神様を騙したのだから、裁かれるのかな。



「・・・君は何か背負っているようだね。 話してごらん」



その言葉に、私は。








奪いたかったんじゃないーーーだけど、羨ましかった。



16/1/24

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