その他シリーズ | ナノ





この空間は混沌としていく



「・・・開かない」

開くはずの門がビクともしない。
硬く閉ざした扉に、嫌な予感を覚える。そして、去る前に言っていた言葉が警鐘を鳴らしている。

「どういうことですか?鳴狐!?」

「昨日の夜には開いていたはず。不具合があるとも聞いてないが」

反応の差はあれど、動揺しているお供と骨喰になんと返せばいいのだろう。
僕にもわからない

「開かない?」

「いや、疑問に言い変えられましても・・・」

「とにかく、一度戻って報告したほうがいいか・・・あと、あの見習いの反応も気になる』

骨喰の言葉に頷く。やあやあとお供が言っているが気にしない。


本当は、すぐにでもあの子を追いたい。
あの子は思い込みが激しいから、きっと事実ではないことを思い描いている。そして、妙なところで決断してしまうし、手際がいい。

その誤解を加速させた原因はこちらにもある。

だから、早く、早く誤解とかなければならない。本当に間に合わなくなる前に。

ーーーあの子になんと言えば良かったのだろう。




「鳴狐、俺たちはできることはやったと思う」

「・・・」

「なんとかなる」

「・・・うん」


思ってることを言葉にして伝えるのは難しい。





最初に言いだしたの誰だろう。


今回の見習いの研修を利用しよう


結果、僕らの主は立ち去った。







大広間に戻ると、場は更に混沌としていた。

『鳴狐ええ!この狐が捕獲するの手伝ってえええ!!』

小狐丸の腰に抱きつき引きずられている加州清光と目線があった。小狐丸の方を見ると、お供の狐が胃を抑えながら小狐丸に言った。

『小狐丸殿・・・その手に持っているものは・・・?』

『ぬし様を捕獲するのじゃ』

両手に荒縄を装備する小狐丸の目が座っている。どうしよう。

『あんたが捕獲してどうすんの!?どっちつーか、が捕獲される側じゃ?!!確実に最悪な方向にしかならないから!目を覚ませえええ』

『鳴狐、其処を退け』
『鳴狐!!退くなよ!』

どうしよう。とりあえず、退かない。そもそも、扉は開かない。

助けを求めて、先ほどの三条の一角を見た。流石に騒ぎは収まっているはず・・・




三日月が山姥切の布を強奪にするのに成功していた。
両手に顔を覆い女座りでいる山姥切に哀愁が漂っている。彼の兄弟たちが代わりの布を被せてあげている。



少しいない間に何があったのだろう。門が開かないことを告げたくないと、お供の狐が呟いていた。



15/11/8

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