刀装シリーズ | ナノ






本丸に帰還したい1



「遠征について行きたい」

賑わう居間が、私の一言によって静かになる。
刀装ちゃん達はいつもわちゃわちゃしているけど、今回、夜勤だったのでおねんね中である。
少し寂しいぜ。



ーー却下
ーーサニワはじがいがんぼうがあるのですか?
ーー審神者姉様、どうして血迷ったことを。復讐したい奴がいるの?姉様、返り討ちにあうよ、やめよう?
「うん!断れると思ったよ!いまのんとさよさよの方が、どうしてそんな考えになるんだ!?」


即座に反応したのは薬研藤四郎ことやっちゃん、今剣こといまのん、小夜左文字ことさよさよの小さい組三振である。薬研には即答で断れるとは思っていたけれど、他の二振になぜか自殺疑惑と復讐疑惑・・・なんで行きたいだけでそうなるの!?さよさよに関しては、最近、復讐の単語が減りつつあるなと密かに喜んでいたが、たまにぽろっとでてきたときにビビる。やめるように言ってくるのは進歩なの?

ーー行きたい理由と、場所次第で俺はいいと思うぞー?
ーー興味ない。誰が子守りするんだ?
ーー聞いてるじゃねぇか、なんかに影響受けたのかよ?
ーーあ!この前、あの奇妙な箱で一緒に遊んでたときに、遠征の話題に食いついていたからじゃないですか?
ーー奇妙な箱?ああ、あのノートパソコンというやつか?あれは面白いが、お嬢さんは影響を受けやすいなぁ
ーーもう、またねっとなんかに影響受けて!駄目だよ、審神者ちゃん?人間なんかが行ったら一部の例外いがい、死ぬ確率の方が高いんだよ?

続いて言うのは、御手杵こと御手兄、大倶利伽羅こと大倶利さん、同田貫正国こと同田貫さん、鯰尾藤四郎ことずっちゃん、鶴丸国永こと鶴さん、お母さんなお兄さんこと燭台切光忠さんの大きい組六振。燭台切に関して、常日頃の言動からかお母さんにしか思えなくなってる。面倒みの良い発言ともとれるが、今回もお母さんみたいな叱り方するし。あとの面々は気にしない!


やることが限られてるので、自分の脳内で妄想してるだけだけど新参組の関係が思春期の息子と離婚した母親の図である。で、ここにきたのは再婚して一緒に暮らしている設定だった。再婚相手は鶴丸か御手杵だったんだけど、鶴丸は色々やらかすから後片付けで怒られ、御手杵は兄に対する接し方(そんな会話)してるので、再婚より実家に帰ってきた従兄妹にした。祖父は鶴丸、父兼兄は御手杵、兄兼弟は鯰尾・薬研、弟は今剣・小夜の構成。 そして、私は義理の娘か妹で長女にして末っ子!一人でいるとき、楽しく妄想する日々です。
あ、そういえば刀装ちゃんに話していたのを大倶利さんに聞かれてたな。用があったのか襖を開いたのに、無言で閉められた。 だろうな!


「お母さん、そんなこと言わないで!ちゃんと、外にでたらいうこと聞くから!」
ーーでも、そんなこ・・・おか、えっ?、お母さんっ?!
ーー大将、我儘言うんじゃない。お袋が困っているじゃないか。
ーー薬研君までーっ!

なので、こうやってお母さん呼びを大っぴらにしている!困惑しかされないけど嫌がる態度ではなさそうなので、呼んでも気にならないように刷りこんでやるっ!というのが私の心意気です。
お母さん曰くよその薬研とは、少し違うらしいここの薬研。個性があっていいじゃないの。 低空で浮いてる刀は、あれなのか[_| ̄|○]こんな図式になってるのかな。 脇差と白い刀が近寄っているが、確実に私と薬研の発言に便乗する気でいそうだ。ごめんね、燭台切さん!


ーー俺らは無視か!チビ!子守りは誰がするっと思ってんだ!
「よろしくお願いしままままあああああすう!」
ーーいい笑顔で土下座て。土下座すればいいってもんじゃないぞ?まあ、俺は子守りしていいけどな〜
「さすが御手兄!」

私の脳内はブレてもお兄さん達はブレない。 同田貫は全力で反対している、御手杵は以外と寛容に受け止めてくれてる。 子守り子守り連呼してるが、私、高校生よ!といっても、日頃の自分の行動と言動は一応自覚はあるので否定しない。神様からしたら、私なんか赤子みたいなもんなんだから開き直って、存分に子供扱いされて可愛がられるてもらう方が丁度いい。実際、非力で庇護がないと生きていけないし。肩車してもらったり、一緒に寝たり、お風呂入ったり、頭撫でてもらったりするの童心に戻ったみたいで楽しい。見えないから、ついつい羞恥心忘れがちである。後悔なんぞは見えたときにでもする。 現代にいた頃は、もうちょっとしっかりしていたはず。たまに都会で迷子になったり、山で爺ちゃんと猪に追いかけられたり、田んぼに自転車でダイブしたりしたけど。
あれ?ここにきたのも誘拐だから・・・しっかりしてる?まあ、いいや。

「何も危ないとこに行きたいんじゃないんだよ!比較的安全なとこで私も魚獲ったり、山菜摘みしたいなぁ、て」
ーー駄目だ。そもそも審神者が時代を渡るなんて、かなり危険だ
「やっぱ駄目?じゃあわかった、やめる」
ーー・・・!?

ーーサニワはすんなりあきらめますよね。それがいいことなのかわるいことなのか
ーー俺っち的に、生きることに関しては生き汚くてもいいんだが
ーー僕はそれならいいと思う。命懸けで守る・・・よ

「きゃあああ、さよさよもさすがっ!でも、命は懸けないでっ!」

あっさり退いた私に動揺する大倶利伽羅。 どうしても駄目なら諦めるつもりでいた。オッケーでたらいいな、と思ってたくらいなので。 みんなとの交流の一環として妥当な理由です。なんか哀愁漂う雰囲気の今剣と薬研。大丈夫、生きれるなら頑張って生きるつもりだよ!そう簡単に命を投げ出さないさ! 小夜は嬉しいことを言ってくれるので、思わず黄色い悲鳴が出てしまった。 ただし後者の言葉、全力で阻止したい。

ーーぼ、ぼくもいいですよ!サニワとおでかけしたいです!
ーー最近、出陣、遠征は遠くに行くようになったしな。過ごす時間が減ったしたまにいいんじゃないか?
ーーよく言うな、鶴丸の旦那。減った時間を補おう、という理由で大将の部屋に忍びこんで一緒に寝るという蛮行を行ってる癖に
ーーこれだから、へいあんうまれは!
ーー人聞きの悪いことを言うな。最初は許可とってなかったのはあるが、お嬢さんが了承したんだからいいじゃないか!あと、今の!君も平安生まれだ!

ーーさに子を起こしに行ったら、布団にいたの見たとき、もう吃驚しましたよー
ーーあれは酷い事件だった。現在進行だけどね
ーー見張りとして、僕ら短刀も寝るという形になったけど
ーーはあ、ほんとうにこのじじいは
ーー冷ややかに見るのやめてくれないか?

あっさり頷けば、逆に賛同者がちらほらでてきた。 それから、立ち直ったのかお母さん達が会話に乱入してきた。



時間的にあれから一ヶ月くらい経っている。
薬研の言った通りこの前の同田貫・私の心情暴露事件から、無事に出陣することになった刀剣達御一行。本丸が手薄になるのを避けるため、槍・太刀勢が固まらないようにして、ローテーションで行軍している。ちなみに最初の時代から順をおっていってるらしい、色々と凄い山がある時代まで行った古株組だが長いこと本丸から出ていけなかったのでリハビリと、外がどのような情勢になっているか下見の算段らしい。

で、私はローテーションの都合上、残る刀剣達と仲良くさせてもらっていた。 同田貫とはあの一件であやまられ少し打ち解けられた思う。大倶利伽羅は、相変わらず一人でいようとするけど刀装ちゃんにお願いして、なるべく関わりをもてるようにしている。最近、喋る回数が増えてきたと思う。 それで、良かったのだけど、鶴丸がなんか寂しかった?らしくこの前から一緒に添い寝している。 鯰尾が発見し、駆けつけてきた刀達がなんか抜刀騒ぎになり、鶴丸は拳骨の処置で、条件として小夜や薬研や今剣を見張りとして鶴丸も一緒に寝ることにした事件である。私は、なんか暖かいなーとすやぁをしていたので、薬研とお母さんに怒られた。まったくとばっちりだよ。 鶴丸に頭を撫でられた(感触)が、お前のせいだからな。あ、もちろん布団は別々である。


ーーいいとししたじじいなのに
ーーお前も爺だろ!
ーーたんとうとたちですよ?じかくあります?
ーー自覚はある!
ーーだめだこいつはやくなんとかしないと!
ーー今の・・・かなりお嬢さんに毒されてるよな

平安生まれの刀達が喧嘩しはじめるが、他の刀はスルーだ。 お母さん、御手杵、薬研と輪になって食料調達用の地図を見ている。

ーー行くとしたらここかな?
ーーここら辺、安全だったな。よし、ここにしよう。
ーーまず、下見に俺っちと燭台切の旦那と御手杵の旦那で行くかな?
ーー最初のメンバー・・・は


行くことに決定したらしい。掲示板で審神者の影響によって刀剣男士の個性が変わることがあると知ったけど、これも影響のせいなのかな?同田貫と大倶利伽羅は諦めたのか、会議の成り行きを遠くから見守っていた。 鯰尾と小夜と楽しみだねと話しながら私は遠足気分でるんるんだった。


ーーーこれがいけなかったのだ。絶対。



15/5/17

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