刀装シリーズ | ナノ






ストライキ本丸の事情3



手当された審神者ちゃんは、縁側で仰向けに転がっていた。目を瞑って静かにしている彼女の周りには、もう見慣れてしまった刀装兵達が一緒に寝ている。微笑ましく思いながら、昼食について言うため彼女に近づく。いくつか起きていた刀装兵達がよっと言う様に手をあげていた。僕もそれに返すように手をあげる。

「審神者ちゃん・・・うん、少しは落ち着いているね。ご飯食べれそうだったら台所の机に置いてあるから食べるんだよ?」
「おー、おか、しょくだいきりさん、ありがとうございます。他のみんなは食べましたか?」
「うん、食べたよ。鶴丸君は今剣君にご飯抜きにされていたけどね」
「おおっそうですか。あとそれはいつものことなので。没収されたご飯は、刀装ちゃん達の胃袋の中ですね」

あの後昼食はできていたので、審神者ちゃんが私は後で食べるので気にぜず食べて下さいと促され、みんなと共に食事を摂った。 鶴丸君の分は、審神者ちゃんが言った通り刀装兵によって食べ尽くされていた。今剣君がとうそう、たべておしまい!と楽しそうに告げていた。鶴丸君は食べなくて大丈夫なんだが・・・と言っていたので、じゃあ夕食いらないんだね?と便乗したら素直に謝られた。そういう反応してもらえると作り甲斐がある。 審神者ちゃんがお母さんと呼ぼうとしていたのは、何も聞いていないことにする。僕のどこが母親要素あるんだいとボヤいていたら全員に、なくもないというような目で見られたことについて、いつか問いただす。



ここで住むことになった僕等は、それぞれ役割を与えられた。現時点で出陣しないので、最低限のできることはする。遠征・内番・料理等と分類され、料理その他が僕がおもにその他はだいたいみんなで順番にすることになった。人数が少なく、審神者ちゃんも一応組み込まれいるらしく、同田貫君と倶利ちゃんとひと騒動あったらしい。そこは割合しておく。 そのおかげか、関わるきっかけあったため、早い段階で普通?話せるようにはなってきてると審神者ちゃんは嬉しそうに喋っていた。僕からしたらだいぶ辛辣に対応されてるような気もしするけど、彼女がそう思うなら。

互いの呼び方に関して契約の関係があるとはいえ、誰かを指す言葉がないのは不便ということで、僕等は彼女に名乗った。他の二名はあまり乗り気ではなかったけど、わいるど?な刀と寡黙な刀と呼ばれる方が嫌だった気持ちが勝ったように見えた。僕のことはなんて言ってたのと聞けば物腰の柔らかな刀とかえされ、名前で呼ぶことをお願いした。 それを古株組がうんうんと頷いていた。彼等は一年はかかったらしいことを聞いて、彼女と彼等の関係に疑問が尽きない。

彼女は、僕等を燭台切さん、同田貫さん、大倶利さんと呼んでいる。倶利ちゃんに関しては長いからだろうか、略されてる。審神者ちゃんは、一応敬意をはらってくれてるさしいがなんか雑である。気にはしないんだけど。それから、彼女に、審神者でいいですよと言われたので、僕は審神者ちゃん、倶利ちゃんは審神者、同田貫君はクソガキとか宜しくない言葉だったんだけれどチビと、いつの間にか変わっていた。 まあ、色々あったと思う。審神者ちゃん自身も、意外と物怖じしない部分があるかもしれない。



倶利ちゃんと同田貫君の態度に気にしておらずかといって、興味がないわけでもなくそれなりに気を使ってくれてるようだ。ギスギスしてるわけでもない、彼女の行動が相殺してるせいなのかは分からない。 僕等は、結構良好な関係を築けていると思われる。

「審神者ちゃん、倶利ちゃんと同田貫君とはどうだい?仲良くやれてる、困ったことないかい?」
「へ?今の所ないですよ?刀装ちゃん、また人のお腹で寝てー」
「本当に?それにしても相変わらずその子達、自由だね」
「うーん、まあ、無視されてるわけでもないですし。まだそんなに日が経ってるわけでもないしぼちぼちですかね?他の刀装とは違うと聞きましたけれども」
「そうか、ならいいんだ。ありがとね、二人共ちょっと気難しいから」
「いえいえ、こちらこそありがとうございます!燭台切さんが、間に入ってくれるからものすごく助かってます!うわっ、ごめんねー。いきなり〜そう怒んな」

それとなく二人のことについて聞くけれど焦っていることもなく、周りにいる刀装兵の話をまじえつつ会話する。僕がお礼をいうと勢いよく飛び起きる審神者ちゃんにビクッとした。
なお、刀装兵は転がり落ち頭部を打ちつけて、手で頭を抱えながら悶絶している。無事だった刀装兵が、審神者ちゃんにぴーぴー批難していた。とても穏やかな光景である。



審神者ちゃん曰く、あまり人間?関係を築くのは得意ではないらしく、僕が勝手にやってることを感謝してますと言うので少し照れ臭くなる。彼女の素直すぎる言葉に嬉しくもなる。
建前ではないとみてとれるし・・・それと。

(人に見えてないのも、あるのかな?)

薬研君が教えてくれたことを思い出した。






彼女には僕らが人に見えてないらしい、本当なのかと思ってよく観察して会話すると、視線が全然あわない。彼女から触れられると別の箇所にいくらしく、申し訳なさそうにされる。 元々いた6振にはだいたいわかるようになってきているらしいけど。

昨日、少し悪戯心が湧いて頭を撫でれば、吃驚したようにこちらを向いた。 視線を彷徨わせて困惑している、それから、不思議そうに大人しくしていた。 極めつけに。

「刀様方は撫でるのお好きなんですか?」

鶴丸君がよく集中的に驚かしているらしいが、このぽけっとした表情が可愛いらしいからなのだろうか?絡みたくなる気持ちが少し分かったかもしれない。 ほっぺたを触れば、うわっと言ってくすぐったそうに笑う。触れる髪の毛も柔らかい。 なんだか、背徳的なことをしてる気分だと我にかえる。小さい子に悪戯してるなんて、かっこよくない。

触るのやめようとするも、時すでに遅し。 その場面を目撃した、今剣に検非違使さんこいつです!と叫ばれ、駆けつけてきた粟田口組に騒動を大きくされてえらいことになったのは忘れたい。 話し合いの時も思ったけれど、ここの薬研君お茶目というか、鯰尾君との連携がすごい。


15/5/10

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