刀装シリーズ | ナノ






本丸の秩序と平和は守ります

この本丸の刀装兵は少し変わってる。

まず、思考がある。気配りができる。察しがいい。見て見ぬふりもする。刀剣男士の刀装だけじゃなく、出陣はもちろん内番の手伝いしていたり参加したり、刀剣男士と遊んだり審神者と遊んだり、食べ物を食べたりと、とにかく個性的だと思う。

これは刀装兵の見た本丸内で起こった出来事である。



刀装兵の朝は早い。 平安爺組並みに早い。朝が早いのは仕事するため。(別に、どこかの主命の人とかみたいとかじゃない)

まず、日課の本丸巡廻を遂行する。理由はこの本丸、招かざる客が多い。歴史修正主義者とか、検非違使とか、れあ刀剣目当ての不埒な輩が放った呪術的な式神とか、歴史修正主義者とか、不埒な政府の輩が細工したものとか、歴史修正主義者とか。

普通はあり得ないだろういうあれなおんぱれーど。特殊な経歴で何かと悪そうな奴らに目のつけられやすいこの本丸。審神者を筆頭した刀剣男士も一応結界張ったり色々仕掛けたりして警戒してるけど、この本丸わけあり物件なので気付いたら変なのががばがば侵入してきちゃう。刀剣男士達もやることいっぱいあるので(さぼる奴もいるが)四十六日中監視や警備や見廻りするわけにいかない。ので、この任務を請け負ったのが所持数超えしあんまり減らない、暇を持て余した刀装兵達(と暇じゃないけど一部の刀剣)

刀装兵達(一部刀剣も参入)でしふとっぽいもの決めて、日夜、本丸を脅かす不法侵入者達を追い返したり制裁・・・お仕置きしたり、とっ捕まえたりと忙しかったりする。

でも、刀装兵がんばる。これも、本丸の平和のため。

もうすっかり相棒となった動物達に跨りながら、颯爽と巡廻を始めた。



鷹に跨りながら上空班は下を見ると、三日月宗近が何か引きづりながら朝の散歩をしているのを発見。ふっと、こちらに気付いたようだ。片手でおいでおいでとされたので、鷹に下りてとお願いして降ろしてもらった。降り立つと片手で掬いあげられる。おっとっと、としながら体制を保つと、真正面に三日月の顔面があった。人間なら、きゃあああとか黄色い悲鳴とかあげていたのだろうか?
この顔面、人間達曰くかなり素晴らしいものに見えるらしいが、刀装兵にとって刀剣の容姿の有無なんぞどうでも良かった。でも、瞳の中に見える月は綺麗だと思う。小さいせいか、見下ろされるのでその月を見るのが多かったのもある。

「お主達は、毎日朝の早くから頑張っとるな。お勤めご苦労」

三日月が朗らかに笑いながら、労いの言葉をかけてくれた。刀装兵は刀剣や審神者に褒められると嬉しい。刀装兵、今日もがんばるぞと心に誓った。

しばらく、見つめあっていたら思いだす。そういえば三日月、何か引きずっていた。そのことを三日月に聞いてみると、はて?と呟きああ、と思い出したようだ。

「おおっと、忘れておった。これを、門から投げ捨てようと思ってた」

何か指す言葉とともに、三日月が後ろの方をちらりと返り見るので、掌から肩に移動して見ると。


見事なたんこぶ三段出来てた歴史修正主義者だった。意識はない。刀装兵、晴れやかな爺の表情を見ながら、いつものごとく侵入した歴史修正主義者に合掌する。侵入してきた歴史修正主義者の大半はいつも爺に負けているので、もうそろそろ諦めればいいのにと思ってる。侵入してくんな。


三日月とは、そこで別れて仕事に戻った。



また上空から本丸内を見渡すと、鶴丸が何か埋めてたり、青江が馬に追いかけられてたり、朝っぱらから山伏がでかい声で鍛錬して、宗三に飛び蹴り食らってたり、審神者が青江に巻き込まれたりと地上は愉快なことになってるけど、刀装兵気にせず任務を遂行した。


15/7/1

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