刀装シリーズ | ナノ






小さき者たちの暗躍

本丸の刀装兵たちに案内してもらい手入部屋に向かうと、そこには弱りきり倒れていた妖精達がいた。

慌てて駆け寄り複数個で力合わせ、んしょっと楽であろう態勢に起こす。ふたまわり以上大きいので、潰されないように気をつける。

妖精達の様子はぐったりしてるものの、まだ動けるように見えた。
彼らは突然現れた自分達の存在に困惑しつつ、赤眼達を警戒する。その反応はここの刀装もしていた。そりゃそうか、敵の刀装がいるのだ。戦をしている・・・普通なら警戒もしくは、倒すとかするのが普通のこと。一緒にいることの方がおかしいのは刀装兵だってわかっている、刀装兵だって赤眼達と幾度となく戦ったことがあるのだから。

でも・・・戦いに身を置いている刀装兵だがごく普通の一般的な本丸とは違い、前は審神者業務をほぼ放置していた審神者の元に、今は主人無し奔放な三日月宗近の元にいる自分達にとって受け入れてしまえば、この事実は気にすることではなかった。
時の政府陣営と歴史修正主義者陣営。現在、自分達はどちらにもつかない曖昧な境界線にいる。どっちつかずな位置にいるのは仕方のないことかもしれない、前の審神者は政府に見捨てられた状態のようだったし、三日月は人間に散々な目に遭わせられ理性はあるようだが荒御魂に堕ちている。

かといって、あちら側に寝返るつもりもない。いわば中途半端な立ち位置にいた。
曖昧な境界線にいる自分達だが、この本丸を害そうとするわけではないのだ。

本丸の刀装達には一応信用してもらえた。
でも、妖精達は?少しだけ、刀装兵は不安になってしまった。
そう思っていたら本丸の刀装兵が必死に妖精達に話をしている。妖精達はやっぱり胡散臭い自分達を信用するなど!と刀装達と口論している。

それから話は平行線だったが、敵意がないのは感じとってくれたのか、最終的にはしぶしぶ折れたようだ。それか妖精達もこの状況をどうにかしたいのだろうか。

妖精達から自分達は何をすればいいと言われて、手入の妖精にはいつでも手入できる体制に取り組んでもらう。鍛刀の妖精には資材の確認や自分達の手伝いをお願いした。

そうしたら手入の妖精すぐさま確認しに行く、戻ってきて手伝い札どっさりあるそうだ。あまり使われていないので、他の仲間達が掃除していることも。
資材の方は鍛刀の妖精がさっと確認しに行き、鍛刀用にとってあるのかどっさりとあるそうだ。

なんて、仕事が早い。それを聞いて手入できることになったら、ここのすべての刀剣分あるようだ。うむ、すべて予定調和。三日月っぽい真似をしながら、刀装兵は満足気にうんうん頷く。だって、資材大事。色々、大事!

次に妖精も一行に加えて馬小屋の方へ案内してもらう。
到着して馬の状態を確認する。馬達は体調は万全ではないものの、ここの刀剣達は欠かさず世話はなんとかしているようで出陣に行けるくらいには動けるとのこと。

馬達には申し訳ないが、門の辺りに移動してもらうよう促す。刀装兵、動物との意思疎通はお手の物。馬達は困惑しながらも誘導した通りに移動し始める、馬達に小さな手でありがとうと撫でた。これまた困惑した本丸の住人達に何する気?と言われて、こう答える。

退路は絶つべし。

更に、本当に何する気!?とざわり始めた本丸の住人達に刀装兵は後でわかると言うだけだった。予想は外れて欲しいけれど、何が起こるかわからないのがいつの世も同じ。
想像できる限りのことに対策はとっておくのだ!

本丸の住人達に一通り屋敷内を案内してもらって、本題の刀剣達に顔通しをしてもらえることとなった。少々、危険に思われても自分達のなりは刀装兵。なにかしようものなら、抑え込むことができるのだろう。

待ってる間、暇を持て余した赤眼と銃兵が本丸を勝手に探索しはじめた。もはや隊の意味もない、刀装兵、自分の力量にまだまだとしょんぼりする。しかし!同じ刀装兵の銃兵までなんで混じる!完全にお遊び気分だ。今することは山ほどある!と、連れ戻しに行こうとしたら、銃兵が何かにつまづいたらしい。いてて、とさすっている銃兵の傍らにいた赤眼が、ぴっーー!と変な結界らしきもの?を見つけたと行っている。

・・・えー、そんなばかなー。

まあ、とにかくなんぞこれ?と恐る恐る近づいてみる。
よくない気が感じた、見ると禍々しい色している。そして刀装兵と同じくらいの大きさだった。隠されているような場所にあり刀装兵とか妖精くらいの大きさじゃないと、まず目につかないだろうか?隅の方とか足元注意しなくちゃいけない。まるで、なにか閉じ込められているような?

しばらくそれを観察していると赤眼が、あー!これ知ってるーーー!とぴょんぴょん跳ねた。どうやら元々ある歴史修正主義者の奇襲対策用≠フ本丸の結界とは別物のようで、ここの刀剣達が逃げ出さないように内側から張り、それに加えて主従の契約で破ろうしたり反抗するものなら苦痛を与える仕組みになってるらしい。なんでお前らはそんな事情に詳しいんだ?と問えば、本丸奇襲の作戦の為に色々調べたらしいのと、装備されてた歴史修正主義者との会話で聞いたことあるらしい。

・・・かなり、いや聞いちゃいけないこと聞いたような・・・あちらが知られたらまずいことを暴露されたような。それよりも、もっと重要なこと聞いちゃたような。でも、まあ今は関係ないか。

刀装兵達は重要なことを知ってしまったような気がするが今は聞かなかったことにした。


バキイッと小さく何か壊れる音がした。話していた赤眼とともに視線を向けたら、銃兵と残りの赤眼がどっせいと結界らしきものをぶっ壊していた。それ≠ゥら、ナニか邪悪なものが漏れだしている。ぎゃーーー!

しかし、漏れだしたそれを冷静に赤眼がせっせと自分自身に取りこんでいる。刀装兵、あまりの展開にぽかーん。状況説明を隣にいた赤眼に要求する。不思議そうにあれくらいものなら、一つずつ壊して対処すれば大丈夫と答えられた。
なるほど、まったくわからん。

なんかばれたらやばいそうなので邪悪さが消えたっぽいものを適当に隠して、そこからみんなに退散する指示。なんか、取りこんだ赤眼はぐふっーーーと満足そうだ。
ひとまず、大丈夫そうなので後でなんとかしよう。もしかして怒られる?



そんなこんなして、とととっと退散することに勤しんでいたら、後ろの背を摘まれた。
ぐえっ。

「此奴らが・・・?」

ぷらーん。再び。

ぷ、ぷらーん、するのは慣れたもの・・・おええ。

摘んだのは、へし切長谷部。

刀装兵達、三日月に刀剣男士の人物教えてもらっている、この摘んでいるのが長谷部とわかった。へし切て呼ばれるの嫌みたいだから長谷部て呼ぶよ。ばちっと視線があったのでじっーーーと長谷部の瞳をみつめる。伝われー。

「・・・長谷部の旦那、なにみつめあってんだ」
「へし切と呼ばれるの嫌だって聞いたから、長谷部と呼ぶとおしゃっていますなぁ。これは・・・これは・・・、奇怪な刀装兵でございますね」

「見つめあってなどいない!・・・貴様は中傷なのだから、大人しくしておけ」

長谷部の後ろから、傷塗れの薬研藤四郎と鳴狐がひょっこり出てくる。おまけに鳴狐お供の狐が刀装兵の思いを代弁してくれた。感謝。


長谷部怒ってるけど、ちゃんと労ってる。優しいね。

「と、おしゃっています。お優しいですよ、長谷部殿は」
「優しい」

「戯言いってないないで、大人しく寝ておけといってるだろう!」

引き続き、お供と意思疎通をはかった。どうやら、このまま通訳してくれるらしい。本体も喋った。喋った。
この本丸の部隊からある程度は予想してたけれど、本丸に居る刀剣男士達の仲も悪そうではなさそうだ。長谷部は声を荒げるけど、耳が赤いから照れてるし。でも、そろそろ下ろしいてほしい。慣れてるけど、この体勢意外としんどい。そう思っていたら、薬研がさっと長谷部からとってくれた。

手のひらに乗っけられる。薬研の顔と瞳を見る。うん、目は死んでいない。

「旦那も素直になればいいものの、あとお前ら目的は妖精からお供に伝わって聞いてるんだが、あれは、どうにかしてくれないか?」

妖精達ちゃんと伝えてくれたのかー、刀剣達の反応からまだどういう心情なのかわからないけど、話し合いできそう?それと、あれとは?視線をそらして顔で指すように薬研がしたので、そちらの方向をみた。

そこには、闇堕ちしそうな一期一振とか江雪左文字といった刀剣達にへーい、歴史修正主義者にならない?≠ニ勧誘しているっぽい赤眼がわらわら集っていた。敵の刀装兵達に集われている、一期達は困惑の境地に達している。
一期や江雪にはたぶん意味はまだ通じてないが、敵の刀装というのもあり不穏である。立場的に問答無用で粉砕されてもおかしくないが、刀装兵と赤眼もまだ健在だ。なんにせよ、目を離した隙におんどれはなにしとんじゃあああと刀装兵は即座にしばいた。もう既にそちら側に堕ちつつある相手においうちかけるような真似をするとは!洒落にならない!三日月に拉致られたとか、敵の刀装兵だからといって容赦はしません!


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