刀装シリーズ | ナノ






調味料を作りたい4



「というわけで、本日の報告こんな感じです!とりあえず、本日の議題『調味料がヤバい』早急に対策を考えないと、今後の食生活が激変する恐れあり」


ーー大将、綻びの方が今後の生存に関わってくるんだが
ーー薬研と同意見だ。あんた、飯のことよりそっちのほうが重要な議題だろう
ーーいちぶのとうそうが、いじきたないのてっあきらかにサニワのえいきょうですねー
ーー結界に綻びか。そいつは良くない驚きだ。君の思考回路は通常運転だな
ーー鶴丸さんの思考回路も常に通常運転ですけど
ーーこの前、廊下の壁から出てきたの・・・びっくりした

ーーおっ!小夜坊の驚き方はなかなかよかったぜ!
ーー旦那、小夜の兄貴がここにいたら確実にしめられていたぞ
ーー壁から!?壁に細工してたか?
ーー退屈すぎて死んでしまいそうだったから、改造したぜ!
ーーつるまる・・・

「議題を否定された上に、なんか酷いこと言われてる。そして、鶴さん。あんたに言われたくないんですけどおおお!?いや、鶴さん何してんの!?この前ちょっとこけそうになって壁にもたれかかったら、くるって回ったのやっぱお前の仕業か!!」

ーーサニワこのまえかべにうまってたの、それだったんですか
ーーここにも犠牲者が
ーーそいつは見たかったぜ!どうだ、感想は?

ーー審神者姉様、コレどうしようか?
ーー小夜はちょっとその刀降ろそうな〜


夜ごはんを食べ終わった後に、先ほどの報告をした。現在、現代にいた頃より娯楽の少ないここで暮らしている私にとって、食事は日々の楽しみの一つだ。ここで美味しさが限られてくるなんて考えただけでも恐ろしい。

その上で議題にだした調味料について。 自分でもどうかと思っていたけど、やはり薬研と御手杵が苦言をいう。ご、ごもっともです。それから、今剣がナチュラルに毒を吐いてくる。ここ最近、態度が急変するけど気を許してくれてると考えることにしたよ。素がこれなのかはワカラナイ。 頭の上にいた二号ちゃんがくいくいと髪を引っ張って、ほらなやっぱりみんなもそう思ってると言ってるような気がして、両手でこしょばっといた。

そして、鶴丸から話が脱線した。鯰尾の発言と小夜の話で奴の所業が発覚する。 薬研がポロっとこぼしていたけれど、小夜のお兄様の件についてはどきりとした。まあ、他のみんなが壁について話していたので、埋もれたけど。

いつも、鶴丸から変な方向に向いていき最終的にこの惨状である。真面目なときは真面目に話すのに・・・なんで、こうなったし。

鯰尾が抜刀しているらしい小夜を諌めてくれたので、血生臭いことにならずに済んだ。 よかった。審神者、同士討ちは推奨してないから。 話は物騒になるけど、今の所穏やかにおさまる。平和が一番。

ーーところでなんのはなししてましたっけ?

あっ、と今剣の言葉に全員が口を揃えたのだった。



ーー仕切りなおして、調味料の対策を考えないと、大将の思考が調味料から離れないので先にこちらの議題を優先する。全員、意義ないよな?

「流石、やっちゃんわかってるう!できる刀!」

ーーあんたは少し、否定をしろよ

「事実だからしかたない。えっーと、まずね砂糖・塩・醤油・味噌が残りすくなってきてる。それから、酢・酒が次に。油・ソースがまだ大丈夫かなー。和食を中心してたから、よく使うものが無くなってるんだ。ソースて合うものと合わないやつあるしねー」


ーー開き直って嬉々として喋り始めたぞ、こいつ。
ーー御手杵さん気にしないほういいですよ

仕切りなおしを薬研に頼むと、しょうがなさそうだったけど調味料の議題を優先してくれた。 御手杵と鯰尾が諦めたように喋っているが、私はこういう奴だ気にすんな。 一つのちゃぶ台を囲むようにして、机の真ん中の大きな紙に書き込んでいく。そして、それぞれ提案していった。

ーーちょうみりょうのざいりょうになるものは、はたけでそだてられませんか?どうしたんですかーにごう
ーーここの畑植えれば、なんでも育つよね・・・いまの、つつくのやめてあげなよ

左にいる今剣と、右にいる小夜が言う。
今剣は机の上に疲れて寝転がっている、二号ちゃんをつついているらしい。よく見ればちょっと二号ちゃんが動いている、小夜が止めてあげてるみたい。 たしかにつつきたくなるよね!

ーー君、別のこと考えてないか?材料てなんだ?俺はそこらへんさっぱりだ。
ーー俺も槍で突くしか脳がないからな〜
ーー魚介類大漁に取ってくるようにはなりましたよね
ーーああ、あれは驚きだった

ーー余計な話をするな。というか大将、まずはどの調味料を作る・その方法を調べる・それに必要な機材、環境を作る、やることは沢山あるぜ?
ーー薬研お前、以外とやる気あるよな。袖まくりまでして
ーー鯰尾兄、なにか作るて大変なんだ。中途半端にしちまったらどこかで一気に崩れるか、ロクなもんしか作れないからな

話がまた脱線しそうになると薬研は軌道修正すると、めちゃ具体的に指針を提案してきた。鯰尾の言葉からするに、袖まくりしてるということは気合がはいってる。最初、仕方なそうに話してたけど意外とノリ気!?いや元々面倒みが良くてそれ以上のことをしてくれるから今回もそうなのかな。


ーー例えば、醤油を作るとしよう。材料は塩、こうじ、水。飲み水は確保してるからいいとして、塩は作らないとな。こうじは大豆と小麦とこうじ菌が必要だ。大豆は豆乳を作るのに育ててるし、小麦も、一昨日畑を広げて試しに種を蒔いてみた。種は備蓄にあった、まったく宝の持ち腐れだ。世話をサボらなければ大丈夫だ、御手杵の旦那くれぐれもサボるなよ。鶴丸の旦那は意外とちゃんとしてるしな・・・問題はこうじ菌だ。手作りでするには、素人が失敗しやすいと聞いた。市販のこうじでもあればいいが、機材もだな。備蓄庫ももう一回隅々まで調べてみるか。もし出来なかったとしても、水田で育てた米があるから米麹はできるかもしれないな。

ノリ気以前の問題だった、この刀、本格的に調味料作るつもりだわ。

「やっちゃん・・・なんでそんな詳しいの?」

ーーお前どこ目指してるの?
ーー畑で何かしてると思っていたが、きみそんなことしていたのか
ーーやげんがすごすぎて、なんていえばいいか
ーー世話はサボらないようにするわ
ーー僕も頑張るよ

薬研から繰り出されるマシンガントークに、全員・・・うん、と頷くしかなかった。


その後、薬研を調味料開発局長にして、いったん話は終わった。
機材も無ければ、妖精さんと相談しながらなんとかしないとなと言っていた。ヒトリでするには大変だから言いだしたのは私だし手伝うが、とことん高みを目指すこの刀についてきてくれるヒトが欲しい。

あとなんで、詳しかったのかとういうと拝借してきたノートパソコンで調べてみたらしい。
電波は通ってないが神力を使って波数を受信したらしい。そんなことに使っていいのかな?よくあるインターネットの怪奇現象とかこういうのが原因なんだろうか?なんか色々知ってるなと思っていたら、まさかである。今度、某掲示板に繋いで貰うのお願いしよう。



ーーねえ、鶴丸さん
ーー鯰尾、君か・・・どうした?
ーー気づいていますか?
ーーああ、気づいてるよ。他もな。たくっ、あのお嬢さんはナニ≠招いたのか
ーー懐かしい気配がしますね
ーー穏便に済ませれたらいいんだがなあ 。まあ、今夜にでも片がつくだろう



夜中に目を覚めた。

(なんか、眠れない。仕方ないから厠へ行こう)

月の明かりを頼りに、厠へ向かう。
月明りに照らされて、夜桜が素晴らしい光景を生みだしている。
ここにきたのが一年前、現世は春の季節だった。 後から薬研が庭の景観のことを教えてくれたので、月を数えてその季節に自動で切り替わる設定をしてみたところ、本丸の中でも四季を楽しめるようになった。これは、良かったかもしれない。こことあっちの時期がずれてないなら、爺ちゃんと婆ちゃんも夜桜を観に行っているかな?
あー、帰りたいな、夜桜が綺麗だなぁ。とボッーーとつったていたら背後に気配がした。
動作をゆっくりと、振りかえろうと後ろに傾けたら白いものが掠めた。
ーーわっ

「ぎゃああ・・・モゴっ」

突然両肩をはたかれたため叫びそうになって、見えない手らしきものが口を塞いだ。
こんなことをするのは、ここでただ一振。 もごもごと手をどいてと訴えると、するっと圧迫感がなくなった。

「鶴さん、脅かさないでよ」

ーーははっ、すまんすまん。最近は、驚かそうとするとすぐに感づかれるからこれは好機と思ってな

「好機・・・てっ」

日々驚かすことに精をだしているこの刀は、常に私にオドロキアタックを仕掛けてくるせいで、だんだん動じなくなってきた。だが、こういうめちゃ気が緩んでいる時にされるとオーバーリアクションしてしまうのだ。慣れたら大丈夫なんだけどな。 それにしても、このじじい。隠密がどんどん上がっていってやがる、まったく油断も隙もない。

カレからいえば私は油断も隙もありすぎて、逆に心配になってくるよとガチトーンでいわれた時、私はじゃあ驚かすの止めてと言ったら、却下された。どの口がいうか!

「あ、そうそう。私、厠に行く途中だったから行くね。おやすみー」

まともに相手をしていたら、夜明けになってしまう。さっさと、逃げよ。

ーーところで、君。俺たちに何か隠してないかい?



ギグッ。

私は硬直する。鶴丸の問いかけに、バレてる確実に昼間のことがバレてる。
少し気温が下がる、これは刀剣達が説教を始める合図というか、兆候だ。


「なにも」

ーーそうか、嘘つくのが相変わらず下手だな。表情に全てでてるぜ?

「ごめんなさい」

機嫌が急降下する前に、あやまった。いっぺん物凄く怒られたことあって、特にその中でも鶴丸が恐ろしかった。おちゃらけてくる時とのギャップの反動がありすぎる。 冷や汗を垂らしながら、目線は自分の足元だ。

ーーなにか、異変があれば教えてくれと言ったのは覚えてるよな?

「うん」

ーーじゃあ、ちゃんと話してくれ。すれ違いで以前のような事態にまたなってしまったら、俺達は君を守れない。俺達は万能ではないんだ。

「はい」

ーー本丸に、得体のしれなものが入ってきた。というか君、何か招いたのか? あと腰にしがみつくな、いざという時に動けないだろ?

「え?いやいや、えたいがしれないものて、なに?招いてないよ。壊れかけの刀が落ちてたから手入しちゃっいました・・・へへへ」

お説教タイムに入る前にあやまったが、得体のしれないものと聞いて思わず刀を前にしてしがみついた。腰なのかここ!

ーー・・・おい、それ確実に、それだよなぁ?

「うぎゃあ、ご、ごめんなさい!だから、頭をごりごりしないで!」

刀達から触れてきたので両手らしきものが、頭をはさんでごりごりした。

ーーまあ、このくらいにしておこう。さて、そこに隠れている奴らは誰だ?



鶴丸がそう呟いた時だ。何がこちらへ来る。
鶴丸が私を吹っ飛ばすーーーーーー打ち合いが聞こえた。


豪快にローリングした私はゴンっと柱に頭部を打ち付けた。

ーーおっといけねえ、力加減忘れた!

ーー同田貫君!出会い頭に斬りかかるのやめなよ!ちょっ、ここの鶴丸君、その子君の審神者じゃないの!?

ーー痛みに悶えているぞ

なんか、わらわら出てきたけど。後頭部が痛くてそれどころじゃなかった。庇われてない!味方に負傷させられたんですけど!?


15/5/4

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