刀装シリーズ | ナノ






人刀関係すれ違い未遂2



ーー全員、外に行くって言ったらどうするんだ?

同田貫が口を開く。



このヒトたまに煽るような口調だよなぁ、うん?全員行けるんだ。
あ、そいやこの本丸、本来あるはずの制限みたいなものがないから融通が効くっていってた。 でも。

「え、お留守番くらい出来るけど本丸に私一人残すて大丈夫なの?ぶっちゃけ襲撃されても、私、闘えないよ?刀装ちゃん達や鍛刀ちゃんや手入ちゃんが全員いるなら前みたいに攻撃とか防戦の指示もどき出せるけれど・・・基本、刀様方が主力ですし。出来るだけのことはするけども」

所詮、人間の小娘である私が何かしてもたかが知れてる。じゃあ何もしないてのはいかない。 今の現状で家無しとか嫌だ。

ーー疑問に思うことが山ほどあるけどよ、じゃあ、俺らが破壊されて誰かいなくなってたりどうする?


また質問。
私が考え事してる間に何かあったのかな?やたらと、きついことを聞いてくる。それ待つ方としては最も不安なやつだ。そんなこと聞かれたらこう答えるしかないだろう。

「泣くよ」

私はどっちかというと涙腺は緩い方だ。 薄情かもしれないけど赤の他人なら泣かない・・・カレらとはそれなりに奇妙に仲良くはできてるし、情がわきはじめている部分があるんですよ。 折れていた刀や歴主さん達が折れるのを見たことがあるのに、カレらがいなくなるなんて想像したことがなかった。

(折れるつもりで行くの!!?みんな何かしら心に傷を持ってるし・・・まさかとか!?)

ーーどうたぬき、もうこのはなしはなしにしましょう。ごじつに
ーー審神者姉様は僕らのすることに口出しはしてこないよ

真意が分からずじわじわ不安になってきた私に、小夜と今剣が庇うようにいう。それを機に静観していた刀達が、この話は終わりにしようというようにそれぞれ動きはじめた。後片付けや今日は内番をするものが移動する。御手杵と鶴丸がこちらの方に寄ってきた。

ぴりぴりした空気が離散したように感じた時だった。

ーーヒトに見えないからどうでもいいってことかよ?

同田貫が不機嫌そうな雰囲気でつぶやく。というか目の前に刀がいる。両サイドを白い刀と大きな槍が落ち着かせるように、まあまあとした図?が出来上がっていた。

ーーこの子は俺らを縛るつもりはない。俺たちの意思を優先させてくれてるから同田貫がしたいことを自由にできるぜ?

ーーお嬢さんがちゃんと手入はしてくれるのは、知ってるだろう?流石に一人にするのは、不安しかないからそこは編成をたてよう

ーー引きとめもしねじゃーか。今の会話きいても不安すら浮かばない、結局こいつはちっこいのさえいればいいんじゃねえのか。あんたらもそう思ってるんだろう?


フォロー?してくれてる二名に、なぜか怒った様子な同田貫が私を非難する。 ど、どういうことだってばよ!?一体全体、何があったんだってばよ!? なにやら、盛大なすれ違いがおこってるような・・・カレらにはこの際、思ってること話しちゃおうか。まだ、みんなもいるし・・・て、立ち止まってこっち向いてるじゃーねぇか! そんなに心配?

古株組とは何回か意思疎通のため話し合いをしてきたけど人≠ニの関係を築くのは難しい。
知らない内に何かしでかしていたようだった。

「いや、あのさ、みんなの方が戦いを知ってるし強いから、普通に帰ってくるもんだと思ってたんだけど?」

ーー・・・ は?

「といいますか、戦いたいのに残りたそうにしてるのはなんで?私にみんなを止める権利はないと思う。審神者は名ばかりで主人でもないから、御手兄の言うとおりもうあなたたちを縛るものはないよ?責任逃れみたいな言い方だけど本丸内の出来事ならまだしも、出陣に関してお願い≠オてないし、そんなこと言われても、命を、背負えないよ」

ーーお前が俺たちを背負えないならてっいうなら、俺たちがお前の命を背負う必要がなくなるぜ?ああ俺たち≠ニ一括りしたが、他の連中は知らねえがな

要は守る必要がないと直接いわれてるのか。言い方悪かったのかな。 でも、あれが本音だしどう伝えればいいのか。お、刀装ちゃんが肩によじ登ってきて、小さな手でふれふれするように挙げはじめた。 頑張れて激励されてる!?

ーーチビ、お前は主じゃないなら、本丸を維持する為に利用されてるんじゃないのか
ーー同田貫君!

また、一段と声が低くなる。 あまりの物言いに、お母さんが牽制するような声をだす。

ーーこの関係の捉え方なんて人それぞれだ。ここまでこじれるつもりはなかったんだが

近くにいた鶴丸が、同田貫と私を交互に見る。刀が左右に動くのが分かった。

えええ、どうしようどうしよう! えーい!



「利用するか・・・それでもいいじゃないの?当初は色々あった。今はみんなから特に酷い扱いも受けてない。居候なのに優しくされてるし、いざという時は守ってくれてる。理由はどうあれ嫌われてはいないよね?情はあるよね!?

やっちゃんは私が頭悪いのに理解出来るまで根気よく教えてくれるし、ずっちゃんは失礼な物言いだけどよく世話してくれるし、さよさよは私の守り刀になると言ってくれる、いまのんは好きですよーてひっついてくれてとても嬉しい、御手兄は私を肩車とかしてくれるしそれが結構楽しい、鶴さんには驚かされてばかりだけど、いつも見守ってくれてすごい安心する。新しくきたみんなも優しくしてくれて、燭台切さんはお母さんみたいでもかっこいいお兄さんにもみえて頼りになる、大倶利さんは滑りそうになった時とか、さっと助けてくれて嫌われてはないて思える

それに、同田貫さんは内番のペアの時、嫌がらずに必要なとき手助けはしてくれるし、甘やかさずちゃんとできたら褒めてくれた」

焦って喋ってしまったが自信がなくなってきた。これで、はっきり情なんかねーよて言われたら審神者押入れに引きこもる。あと、内番は新参組が来たときに私も無理矢理わりこんだ。甘やかされ続けたら、私、一直線に駄目になるんだぜ!


周りが再びしーんとなってるので見まわすと刀が床に散らばってる。何があったんだ!? え、もしかして、私勘違いしてた? おろおろする私と散らばった刀を見て、世話が焼けるぜという雰囲気を醸し出している刀装ちゃんたちがみんなのとこに向かった。

近くににいた、鶴丸、同田貫、御手杵に話しかけてみる。 同田貫はさっきまでの攻撃的な雰囲気が緩和されてる、ただし無言で倒れてるのか、これ。

「鶴さん、本丸を正常に戻してくれた恩は返すと言ってくれたことがあるじゃん、恩て期限があるのかな?そこらへんは、みんなの厚意だと思ってた。私、知らずに調子乗ってたのかな?みんなが私のこと大切してくれてるのは、分かってたつもり、私もみんなが大切だてこと伝わってなかったかな?人間の言うことを信じてくれるかな、て思ってさ」

ーー君の気持ちは・・・・・充分、分かってるから。分かってるとも!

「同田貫さん」

ーーてめぇは、話しかけるな

「え、はい。お、御手兄」

ーーうんうん、分かった分かったから、喋るの禁止

「はい」



「・・・うーんやっぱり、最後にこの機会だから言っとくね!私、みんな大好きだよ!」



よくよく自分の言葉を思い返す、不思議なことに嫌な思い出より楽しくて嬉しい出来事ばかり思い出す。それはきっと、みんながなんだかんだ私を大切に思ってくれているんだと、常々感じるからだよね!






その日は、そのままみんな部屋に篭って顔をあわせてくれなかった。

刀装ちゃんと畑と馬の世話をして、ごはんは各自にした。 翌日、一部を除いた刀達におしくらまんじゅうみたいにされあやまられた。





後日、鯰尾がなんでみんな、あんなことになったのか馬当番しながら教えてくれた。

「て、ことは、あれなのなんであいつ(刀装)なんだ俺(刀)のほうが・・・!≠ンたいな感じだったの?私が刀装ちゃん達を可愛がり過ぎてたから、物≠ニしての無自覚な心が暴走しちゃったの?刀心がわからんくて、すまん」

ーー字面的にやばいなその例え。こちらこそ傷つけるようなこと言ってたかも、ごめん

そう言いながら爆笑してるじゃないか。

ーーさに子が赤裸々に本音を晒したから、嘘じゃないて理解した

「ほーでも、そうか!それって好かれてるてことか!良かった!あ、同田貫さんは意外だ。どちらかいうと嫌われてるて思ってた〜」

ーーあの人、結構さに子こと気にしてるよ

「あ、うん。あのヒト、はっきり言うけど内番は真面目に取り組んでくれるし。粗暴だけど、戦いのこと以外関わらなかったら、普段は常識的だしツッコミ冴えてるし、思い荷物とか持ってたらひょいと何も言わず持っててくれるんだよねー」

ーーへえ、あの人。そんなことしてたんだ〜

「もしかしてあれって無自覚?ヒュー!漢前っだよね!」

そんな軽い調子で喋りながら、今回の騒動はおさまった。こんな日もたまにはあるよね。





これがーーーあの前代未聞の騒動の布石だったとは私はまだ知らない。




15/5/13

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