刀装シリーズ | ナノ
代わる審神者と四番目の審神者2
意識を過去から現在へと戻す。
「それが、最初の審神者≠ェ鶴丸さんによっていなくなる≠ワでの話」
「・・・・・・」
木陰で隣り合う現在≠フ大倶利伽羅さんの様子をちらりと伺う。何も喋らず無言のまま、並べられた墓石達をじっと、見ていた。
僕もそれに倣って墓石を見る。
僕ら付喪神からしたらなど顕現してからの刻など短いものだけれど、今に至る様々な出来事が、長い刻を過ごしていた気分にさせていた。
景観によって変化した暑さに、じんわりと汗が滲む。
「・・・どうなった」
いったん話を止めた僕に、無言でいた大倶利伽羅さんが一言呟く。その後のことを聞いているのか。あんまり気分のいいものではない話なのに・・・やっぱり、この人≠熈あの人≠ンたいに聞いてくれるんだ。刀の分霊であるから、同じでいて同じではないって誰もが知ってるけれど。
「それと一つだけ聞く、復讐を望まなかったのか?」
話をひき続き聞いてくれることが確認できた後に、不意に問われたその言葉に少し驚く。視線を合わせると、ぽそりとお前ならそれを望んだろうと呟やかれる。
ーーー復讐≠ヘ僕を、いや、小夜左文字を指すにおいて重要な言葉であり僕≠ェ常に求めてしまうものだった
「・・・望みはした。でも、行き場を失ってしまったし・・・江雪兄様や他のみんなや薬研や今剣がこんな僕を支えてくれていた。妖精達が僕らを見守っていてくれた・・・正直、元凶である人間はすでにいなくなって気が済んだのもあったかな・・・それで色んな感情が溢れ出てて・・・」
たどたどしくはあるが、あの時の感情を思いだす。
「そうか」
「うん」
「・・・」
「・・・」
「だからね、噂に聞く別の本丸みたいに全員が意思疎通が出来ない状態ではなかった。それから後に爆発したん、だけど」
大倶利伽羅さんが短く返す・・・思えば、僕も大倶利伽羅さんもあまり他人と関わりをとるのが下手だった。この人なりに今の言葉を受け止めてくれたのだろうか?
「・・・それからの話はーーー」
続いてしまった地獄と、あの人の来訪。
【まさか、あの時はそんな僕を守り刀≠ニして置いてくれる主≠ェ現れるとは思わなかった】
15/6/28
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