刀装シリーズ | ナノ






崩壊する日常2



それからひと月のことだ。

あの男のおかしくなった行動の原因は、天下五剣の中で最も美しいと称されるあの刀≠セった。
何故それを刀≠ノ興味がなかったあの男が欲しがるのかわからないけれど人の姿を見て欲しくなったのだろうか・・・“最後まで本当のところはわからなかった”



あの男が出陣についての口出しをするようになったのは本丸にいる刀剣全てに知れ渡っていた。それで、代表的な刀剣があの男と話した結果。あの男が逆ぎれ?をおこして、相手が僕ら主≠ニいうこともあって、主命に無理矢理従うことになる・・・刀剣男士と審神者との契約がまさかここまでものだったとは、と兄様達が苦虫を潰した表情で呻いていた。最初から、自分達で自由にできていたのもそう思わせる要因に違いないなかったけれど。

あの男は編成・指揮・行軍・帰城等の指示を出すのだが・・・これがまたあまり上手いとはいえなかった。相性や練度の偏りがあったり、帰城の判断を間違うという等が何度かありみんな少しずつ疲労や不満が溜まっていた。短刀は何度か折れかけそうなこともあった・・・まだ、僕等で手入は出来るからなんとか破壊は免れている。戦ごとの素人は素人だけど、こちらの部隊編成に対しての提案をさえもまるっきり無視している、僕らが折れようとも気にしてないようだ。

何人か爆発寸前が多くなってきている。短刀に弟が多い一期さんは特に気が気ではないようだった。それを、鶴丸さんや江雪兄様がなんとか諌めているのだけど、そろそろ限界だ。

そして、今回。

『第三部隊まで打刀以上で出陣するようになりました・・・』

『・・・俺っち達第四部隊は遠征か・・・なんだこりゃ、無茶苦茶な編成だな?これで、この場所はきついんじゃないか?確かに練度はここじゃ高い方にいるが』

江雪兄様と薬研がそれぞれいう。
前者の方は、練度が比較的に高い刀剣での編成しかしまだ来たばかりで練度がまだ低いのもいる。
後者は歌仙さん・鯰尾さん・薬研・今剣・僕・前田である、初期にいた面子だ。第四部隊もそうなんだけど、第一部隊から第三部隊のそれぞれの人員がだいぶ偏っていた。練度に差がありすぎて、
上手いこと調整がとるのが難しいようだ。

『この編成であの遠征の任務を達成出来るのでしょうか?』

『ま、失敗したら失敗でもいいじゃん』

不安そうな前田の頭を鯰尾さんが撫でながら気楽そうにいう。前田はそういうことじゃないんですよ、鯰兄と言っていた。でも、鯰尾さんなりの前田に対しての気遣いなのだろう。

その会話を尻目に他の人達は不満を爆発させた。

『出陣出来るのはいいけどよ、本丸の人員が手薄になりゃしーねか?しかも、今の状態で全部隊が出動てのは効率が悪いな』

『主殿は私達をどうしたいのか・・・第四部隊以外の短刀や脇差を残していくのは、心配ですね』

『弟達が多いですからな、残りたいと願ってしまう』

『残るのが粟田口が多いな、一期が心配するのも無理ない。本丸のことも心配だが、この編成で出陣場所も驚きだわな』

『鎌倉以上の場所だ。目的はあれだね・・・準備万端にしないとね。でも、それで破壊を防げるのか怪しい。あの第三の勢力と鉢合わせたのなら重傷どころじゃ済まないよ』

『これは雅を気にしてる間もないな。いくら僕らが厚樫山まで到達してるとしてもこれだけの人数が出陣するんだ、行き慣れていない者もいるしこの本丸に来たばかりのものもいる。それに、打刀・太刀以上は万が一傷がつけば資材の問題もある。これは資材面のことも考えてない・・・主は手入する気もなさそうだ』

同田貫さん、江雪兄様、一期さん、鶴丸さん、燭台切さん、歌仙さんの現第一部隊は、難しいそうな表情で話しあっていた。戦嫌いの兄様はそれまで出陣は他の人に任せていたのだけど、あの男が関わるようになってレア太刀だからという理由で行かされてるせいか疲れたような雰囲気が漂っている一期さんは、短刀のみんなが折れそうになったせいか我慢の限界に達していた。その本人達が大丈夫というので、感情を押さえ込んでいるようだった。今回、鶴丸さん、歌仙さんが言ったように、遡る歴史の場所の中でも最難関に近い場所に決められてしまっているのが、問題である。目的は例の刀だと発覚したけれど、あの男は鍛刀はしないもののなぜか落ちる刀で拾ってこいという形で主命をくだすのだ。


この時、うっすらとした考えだけどある事が思い浮かんでいた。あの男は一般的な審神者のすること≠ェできない≠じゃないか、という何人かは、気付いているかもしれない。

それから、薬研と鯰尾さんは自分の兄弟達と今剣は岩融さんと各自話しているようだ。どこも、不安そうだ・・・僕もだけど。


『まあ、俺たちで刀装と手入が出来るのが、まだいい方だなぁ・・・なんだけどな、手入の係まで駆り出されちゃあなあ』

『御手杵?それは僕のことを指してるんじゃないだろうね?燭台切や薬研のことだろうね?』
『あはは!』
『笑って誤魔化すな!』

『・・・』
『?大倶利伽羅、どうした無言で?』

江雪兄様達以外の人達も各自で話しあってる中、この重苦しい空気を吹き飛ばすかのように御手杵さんが喋る。手入係の歌仙さんは青筋を浮かべながら微笑んでいた。でも、御手杵さんに腰布を掴まれている大倶利伽羅さんは無言だった。何か考えこんでいる。

それから、思いもよらない言葉を言った。

『今朝・・・いつものように刀剣だけで刀装を作れなかった・・・何か知ってる奴はいるか?』

息を飲む音と、暫しの沈黙。



『大倶利伽羅は刀装を製作する係だからなぁ・・・・・・できないのか?』

『そうなの?倶利ちゃん。手入はまだ確認してないけど、刀装が作れないなら手入も・・怪しいね』


それから、御手杵さんと燭台切さんが口を開いた。



『嫌な驚きばかりおこるな。ちっとばかしあの審神者に確認してこようか。江雪、一期、行くぞ』
『僕達は、手入部屋を確認してくるよ。倶利ちゃん、御手杵君来てくれる?』
『俺達他の奴らは、資材とかその他諸々の確認をするわ』

鶴丸さん達を筆頭に、各自慌ただしく動きだす。部屋には、何振かの打刀と脇差や表情が硬まった表情の短刀達が残された。鯰尾さんや骨喰さんが、安心させるように撫でていた。

僕も硬い表情だったのだろうか、隣にいた宗三兄様に優しい手付きで頭を撫でられた。


『これから、どうなるのかな』

『大丈夫ですよ、何があろうともーーー僕らが守りますよ』


それが、すべて崩れはじめる前兆。



15/6/21

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