鯉は鯉の儘龍になる為の滝も無くあの濁った水の中で死に絶える。

貯水の鯉がだらしなく口を開け餌を待っていた。

濁った眼で追われ、全身頭の中迄も弛緩し堕ちそうになる。

アレは私。
与えられる事に慣れ、奪う事も与える事も、動く事すら忘れてしまった、わたし。

アレは私。
滝の登り方は疎か、泳ぎ方さえ忘れた哀れな濁った目の魚。

アレは私。
逃れようと努めもせず、醜く成り下がり掬われるのを待つだけの、濁った目の魚。


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