廃人のスゝメ

ベッドに潜り込んで安穏と別の世界に思い馳せても何も変わらず時計の針は唯々秒を刻んでは夜を迎える支度をしている訳で、耳を澄まして衣擦れを漏らさぬ様に人の気配が薄れ行くのを確かめてはのそりと丸で屍が這い出る様に生温い巣から嫌々でも仕方無しに出流のである。
久方の動作に肉体は追い付かず目前の板目に是もフェイクだと呟いた後何がしたかったのか思い出した様な気もしないでもなかったのだが乗り気は逸れ膝を抱えてまたぼんやりと別の世界に思い馳せている。
近頃の昼間を知らないので果たして太陽は何色だったかと考え昔からの刷り込まれた赤ではなく随分白かった様にも思えるが月は黄色ではなく白かオレンジ色、嗚呼矢張り光は暖色だったのだと白熱電球を見詰める。



そろそろ時間だ。と不快な電子音が一昔前流行ったメロディーを奏でた。


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