一粒の砂を見付けた私は幸福だったのか。そう、私は幸せでした。

切る事も叶わず。
毒を吐き掛ける人形も居ない。
望みは絶望へ。
君は故郷へ帰って終う。

如何か忘れて下さい。
私の事等、最初から居なかったかの様に。

叶った先の望みには、幸福など居ないのです。
人形に為りたいと、幾度願ったでしょう。
人間は疲れたと、何度呟いたでしょう。

忘れて下さい。
私等、最初から居なかったかの様に。

励ましも。私には聞こえないのです。
ヒトを信じられぬヒトに、誰が心を預けると言うのでしょうか。
嗚呼。
気が触れて終いそうだ。
否、いっその事触れて終えば良いのに。

白衣のヒトからカラフルな錠剤を授けられたならば。
悦んで口に致しましょう。
其だけで楽に為れると言うのならば、歓んで飲み干しましょう。

否。
其も叶わぬ喜劇為り。

動き出さぬ私は、斯くて。
黴の蒸した泥人形。

嗚呼、情け無や。

此の肉、望む者在れば。
此の臓物、望む者在れば。
此の血、望む者在れば。
私は惜しみ無く差し上げるのに。
救われる者在れば。
腐り逝く泥人形よりは、遥か貢献出来ると言うモノ。
穀潰しのレッテルを貼られる事だけは、逃れられると言うモノ。
いと、浅ましや。

望みは夢幻。欲望は彼方へ。

















貴方だけが、私の救いでしたのに。


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