濃霧にたゆたう外燈に伝う水滴はやがて血に混ざり込む。

君は水に似て居ると貴方は言いました。
透明過ぎて、酸素を含み過ぎて、青く色付いて終ったんだね、と。
命を育み、真っ暗な海底に僕等を引き摺り込む死神だと。
貴方は哀しそうに歪めて言いました。
指の隙間から逃げて終う。
重さに絶え切れず軋む骨は、祖父の様に緑色だったのでしょう。
熱を奪われた肌は凍え、ぼろぼろに皸(あかぎれ)が裂けた筈。
煮え滾って昇華する。
頬を湿らす水は汚濁していました。
貴方の所為よ。
貴方の所為よ。
貴方が、凡ての、元兇なのよ。
鮮血を舐める舌は、猫の様にざらついて、裂け分かれた指先を嬲り弄ぶのでしょうね。
凡てお終いよ。私が洗い流して差し上げましょう。
聞かないと言ったのに。
放さないと、話さないと、口にしたのに。
ふやけて魚の餌になる膚は、祖母の様に白いのでしょうね。


奪われる酸素は私の糧に為る。
色を増し、濃度を上げ、青く青く鮮やかに。

降り注いだのは虚言症。
光刺すは偽りの水底。


其で、お終い。


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