親戚の子供の運動会に顔を出したら、借り物競争で借りられてしまって全力疾走、次の日には全身筋肉痛なんて、情けない話だった。
借り物のお題は「青いシャツの男の人」だった。
骸が買ってきた青いシャツだったから、綱吉は骸にも責任があると思う。

「普段怠けているからいけない」

背中に湿布を貼ってくれながら、骸が言った。
声が呆れている。
骸が悪いんだとは思っているのだけど、一番悪いのはたしかに俺だった。
言い返しようもないので、カーペットの上に寝転んだまま呻く。
枕がわりに抱き込んだクッションに、くぐもった声が吸い込まれた。
外は昼下がりの強い日差しが明るく暑そうで、対して家の中はひんやりしている。
気持ちのいい温度でうつらうつらしていると、骸がピシャリと背中を叩いた。

「人に湿布を貼らせておきながらずいぶん幸せそうですね」
「うん…」
「湿布貼った背中丸出しでみっともない」
「ん…」
「聞いてないでしょう」

優しい声がして骸の指が綱吉の髪をすいた。
鼻先を、湿布のすぅっとするにおいがかすめた。
長らくお世話になっていなかったにおいだ。
筋肉痛とも打ち身とも無縁の生活だもの…
綱吉はうとうとと考える。
隣で骸の立ち上がる気配がして、続いてタオルケットがかぶさってきた。
むき出しの背中や腕にタオル地が気持ちよかった。
ぱちん、と、電気が消されたようだった。
ただ、窓の外はとても明るいので、綱吉のまぶたの裏は黄色や赤や薄緑にぼやぼやと光っている。
骸が冷蔵庫を開け閉めする。
コップに麦茶を注ぐ。ぽぽぽ、という音は涼しくて好きだ。
骸のいる家でこうして昼寝をするとき、綱吉は「あー、平和でよかった」と思う。
平和じゃない生活をしってるかのように、しみじみと思う。


そして、うつらうつらと、とりとめのない夢を見る。









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