「ねえ沢田綱吉、君勝手だと思いませんか?死ぬっていうなら死ぬって僕に一言断るべきだったんですよ。どれだけ僕が苦労して探し回ったと思ってるんです。本当に薄情というか考えなしというかさしずめ後に残される人間がどれだけ苦労しようと知ったこっちゃないとか思ったんでしょうそうでしょう!冗談じゃないですよいいですか、ここにくるまで、」

まくしたてる骸は放っておいたらいつまでも事態が進まなそうだったので、綱吉は思わず「てゆーか何してんのお前!」と叫んでしまった。
骸はぱくりと口を閉じて、まんまるに目を見開く。
ああ、信じられないって顔だなと綱吉が思っていると、彼はその通りの叫び声を上げた。

「信じられませんね!!沢田綱吉、今日という今日は許しませんよ、覚悟しろ!」
「覚悟も何も、俺、体ないんですけど!」

死んでるんだけど、俺。

「まあ、そうですね」

沢田綱吉、享年…いくつだっけか。もう若くはなく、ただ、日本人の平均寿命でいえば早い年齢だったことは分かっていた。
突然ぽっくりいってしまったからかもしれないけど、体はないくせにこうしてものを考えたり、しゃべったりしている。
世界は不思議に満ちている。幽霊相手にしゃべりかけたり出来るこいつもその一端だと、綱吉は改めて認識した。
まあそれに関しては前々から気付いていたけども!
とにもかくにもそんな次第で、しかも綱吉がいるのは生前にいたイタリアでも並盛でもなんでもなくて、日本ではあるけれど来たことのないような町だった。
だからこその綱吉の疑問その1、なんでいんの、おまえ。その2、幽霊がお仕置きの何を覚悟しろと。
六道骸はふ、と笑うと流し目で言い放った。

「たしかに幽霊には触れません、が、僕の言葉攻めスキルをなめないで下さい」
「白昼堂々と下品だなオイ!!」
「くふ、ナニが下品なんですか?いやですね、何もそういう意味だとは限らないでしょう。それとも、期待しました?」
「もうヤダおまえ」

ぞわっと来た!
体を縮めて悶える綱吉を見て爆笑する骸さんは、どこぞの悪の親玉の風格すら漂わせている。
そのままくるりと踵を返して歩き出し、数歩歩いたところで振り返った。

「ちょっと、何ぼうっとしてるんですか。帰りますよ」
「え、どこに」
「僕らの部屋ですよ」

待ってくれ、初耳だ。









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