○短文

凍てついた星を眺めながら、彼をくるむ毛布の色を考えた。
夜の底で遺跡のように沈む町並みの、そのどこかで眠る彼は、幸せな夢を吸って吐いてしているのだろう。
死んだような世界の下で、明日に向けてふくらみつづける生の萌芽。
寒さを我が身に受容しながら骸は明確に拒絶される輪郭を察知している。
それが皮膚なのか、あるいはなにかもっと違うものなのかは分からない。
つまり同化にむかう末端は、かぎりなく近付く曲線でしかない。
冷えていく指先は、深海に沈む鯨の骨のように白く、ただし浮かんでいる。
固まることのできない血流がこの僕でさえ萌芽であると思い知らせるから。
しん、と、静かな夜の中でも、僕らは明日を疑わない。







寂しいというか静かなというか、な、話が無性に書きたかった。



2010/11/04 23:44
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