モノツキ | ナノ
私たちの世界は一度滅びた。
いや、正確には、世界から私たちが滅びたのだろう。
その昔、人類の一部が世界から弾かれた。理由はわからない。けど、きっとそれは追放だったのだろう。
私のおばあちゃんのおばあちゃんのおばあちゃんの時代の話で、誰も事実を伝えなかった為、
真相は今の世代である私たちには何一つわからない。知ること調べること、それ自体が罪のような今である。
そんな、もはや教科書に載ることもない歴史の。私たち今新しい世界で生きている。
それが帝都クロガネ。此処が今、私たち弾かれた人類が生きる世界。
「神殺、し……？」
「そう。我等つくも神を打ち滅ぼし、この箱庭の世界を破壊をし得る、最悪にして災厄の危険分子。数億分の一で生まれる、人の中の人外……それが、神殺しよ」
人口約二千万人。あるべき世界から隔絶された空間に、ぽかりと浮かぶ一つの都市。
滅びていたはずの人類が生きる、ないはずの世界。
「……神殺しは生まれると同時に、この世界に禍を齎すとして、力に目覚める前に、我等が屠ってきた筈。だのに、何故此処に、神殺しがおるというのか……」
此処は、この世界は
「主……一体、何処から来たというのだ？」
神様たちに創られた世界。