「好きだっつて言って甘えていいからな。っつーか、そういうのは遠慮するな、これからはな」 「…っ、恥ずかし…言うんじゃなかった」 これからきちんと恋人同士として抱かれるというのに、いきなりさっき言ってしまった弱みの部分を告げられて下を向く。全部本当の事なんだけど、改めて言われると顔を覆いたくなる。 でも向こうは心の底から嬉しそうにしているので、小声で悪態をつく。喧嘩をしたいわけでも、険悪な雰囲気にさせたいわけでもないのだから。今はただ、セックスをしたかった。 「俺も好きだ、ってちゃんと言うことにする。手前に言って欲しいことは、言うから」 「それなら、いいけど…」 「我慢すんなよ。全部見せてくれ…な?」 「えっ、あ!?ちょっと、くすぐ、ったぁ…んぁ、ふ!」 顔を顰めながら幼い子供をあやすように頬を撫でられる。けれども次の瞬間には鋭い獣の瞳で睨まれて、いきなり首筋に舌を這わして舐められた。 まだ首輪は外されてはいないので、鎖がジャラジャラと鳴る。ざらざらとした舌で犬のようにペロペロと撫でられると、甘い吐息が漏れてしまう。媚薬の効果は全く衰えてはいないので、目の端に涙が浮かんだ。 「まだ舐めてるだけなのに、すっげえ後ろ締めつけてんぞ」 「だってぇ、あ、俺だって…我慢、して、たし、はぁ、ふ」 「あれで我慢してたのか?何度もイってたじゃねえか。もう手前の体は、薬なしでもすっげえエロくなってるんだぞ」 「誰が、っ、そうしたんだよ!あ、んぁ、は、ぅ…もう、やだぁ、あ、う」 耳元でぴちゃぴちゃと音がして、顔の前にシズちゃんの頭がある。ついさっきまでは目隠しで全く見えなかったけれど、今は何もかもがわかってしまう。 相手すらも感じられず、ただ無言で犯されている時は恐怖しかなかった。それ以外のことは、考えられなかったというのに見えてしまえば簡単だったのだ。 こんなことをするのは、シズちゃんしかいないと。乱暴だけど丁寧に愛撫するのは、この男しか考えられなかった。 そして一人恐怖の中で震えていた間に、体は勝手に淫らにされてしまった。興味の無かった性行為が、こんなにもすごいものだったのだと教えられたのだ。ズルイと思う。 「悪かったな、今まで気づいてやれなくてよ。すげえ体してたんだな、俺は嬉しいぜ」 「ち、がう!あ、ぁあ、う、く…こんなに、敏感じゃ、なかったし、ぁ、ふ…薬がぬけたら、またもど、る」 「そうか?一度すげえの覚えたら忘れられねえだろ。昨日ちょっと媚薬使いすぎて手前なんか変になっちまったんだけどよ、覚えてたみたいだぜ体は」 「え…?そ、んな、ことないから…っ、あぁ、んっ、う、あ、んああぁっ!?」 本当に心の底から嬉しそうに微笑まれて、不覚にも胸がときめいてしまう。違う、違うと頭を振るが衝撃的なことを告げられて固まってしまう。 シズちゃんが媚薬を使いすぎたことなんて、俺には覚えがなくて動揺する。でも確かに多分朝に玩具を体に入れられた時は、ぼんやりとしながらもいつもより感じるようになったのを覚えていた。 そして現在も、もっと動いて欲しいと奥は欲している。そんなバカなと否定したいのに、しきれないぐらい全身が熱くて息苦しい。どうしたらいいんだと困っていると、いきなり律動が早くなった。 「安心しろ、こんなにエロい体になっちまったんだ。絶対に他の奴らにはさわらせねえから」 「あぁっ、あ、んぁあ!はげし、っ、ふぁ…シズちゃ、ぁ、あ、こし、やだぁあ!!」 「俺が責任取って、毎日セックスしてやるから、な?」 「はっ、はぁ、うっ…ま、いにち、できないっ、あぁ、しない、ってぇ、あ、ぁあ!」 「嬉しい癖に、まだ素直じゃねえんだな。まあ、いいぜ。時間はたっぷりあるからよ」 目の前でぐちゃぐちゃに後孔が掻き混ぜられていて唇が震えた。これまで見えなかったものがはっきりと、嫌でも目についてしまい逃れられない。勝手に厭らしくくねる腰を見て、頬が熱くなる。 違うと思うのに、止められない。欲しい、もっと、もっとと心の底から求めてしまうのを感じて、恥ずかしくて嫌だという気持ちが薄くなった。 「なあ、そろそろイきそうだな?」 「なっ、あぁ、ちが、違う!まだ、だいじょう、ぶっ、ぁ、ふぁあ、んっ、く…!!」 「だから我慢すんなって。イけねえと辛いだろ、ほら」 「いっ、ぁ、ああぁあ!?はげし、いっ、ぁあ…やだぁ、やっ、いや、あ、ふぁ、あっ!」 何も言っていないのにあざとく達しそうなことを指摘されて、悔しくて唇を噛もうとするのに口が閉じれない。ひっきりなしに喘ぎ、目の端に涙を浮かべているのに、認めたくなかった。 こんなの、俺じゃないと。いくらシズちゃん相手でも、乱れすぎている。こんなのはおかしい。 必死に葛藤しているといきなり性器の根元を掴まれて、告げられた。とんでもないことを。 「本気で、するぞ?」 「……っ、え?」 「何回イってもいいからな。俺もいっぱい出すからよ」 「え、なに、まっ……ぁ、ひぁ、ああぁっ!あ、ぁあ、すご、っ、あ、ぁんっ、らめ、で、ちゃ、ぁあ…んぁあ、っひ、ゃぁううん!!」 一瞬意味が解らず青ざめたが、宣言後にこれまでよりも素早く前後に揺すられて何も考えられなくなる。激しい、なんてものじゃなくてありえない早さで抉られて気がついた時には達していた。 あっという間だったのだ。何も準備も、心構えもできなくて、ただだらしなく口の端から唾液を垂らして喘ぎ散らし精液を腹に飛び散らせる。そして、それでも止まらない。 これまでが、随分とぬるい動きだったのだと思い知らされて唇を噛む。涙がどばっと溢れて、滝のように流れ続けている。 「あっ、ぁあ、シズひゃぁ、あ、っ…やめ、て、やすませ、れっ、ぁあ、ん!」 「バカなこと言ってんじゃねえ。俺はずっと、我慢してたんだからな。気が済むまでさせろよ」 「うそっ、ぁ、いやらぁ…おねが、っ、ひぅ、く、るひっ、いからぁ…んぁあっ、く!」 「気持ちいい、の間違いだろ?」 懸命に懇願したというのに、全く聞き入れてはくれなかった。それどころか意地悪く微笑んで、唇を寄せてきたので仕方なく受け入れて舌を絡ませて。 「あっ、あーーっ、んぁ、あ、ひぅ!」 「おい聞こえてっか、臨也?」 「はぁ、はっ…んっ、ぁ、き、こえてる…おわっ、た?」 もう何度目かわからない精を中に吐き出されて、ようやくまともに名前を呼ばれて声を掛けられる。まだ繋がったままだったけれど、大きくため息をついた。 「すげえな、気持ちい、気持ちいい、好きだ、って言いっぱなしだったぜ?覚えてるか?」 「んぅ、っ…おぼ、えてるよ…だって、シズちゃ、んがぐちゃぐちゃに、したから」 「ようやく素直になったってことか?」 「はぁ…させられた、の、まちがい」 たどたどしくしゃべりながら、薬がかなり抜けたおかげか意識はかなり戻っていた。最中のことはかなり飛んでいるけれど、口答えできるぐらいには頭が回るようになっている。 あられもないことを言ってしまったことは、もう取り返せない。どんな卑猥な言葉を口走っていてもいい、と開き直っていたがそれよりも恥ずかしくてしょうがなかったのは。 「バカみてえに、同じことしか言ってなかったよな」 「ちょ、っと…!」 「シズちゃん、抱きしめて、抱いて、ぎゅっとして…って、すげえ可愛かったぜ?」 「……っ、う」 自分でもわかっているのに、わざわざ教えてくるなんて酷い。意地が悪い。ふざけるな、と言いたいのに悔しすぎて何も言えない。 今までだってずっと、思っていたことだ。だけどそれを口にしてしまったら、関係が変わってしまうのではないかと怖くて伝えられてはいなかった。それが薬のおかげか、全部吐き出されてしまった。 「そんなに、寂しかったのか?さっさと言えばよかっただろ」 「それ、は…その、っ」 「折原臨也が寂しがり屋なのがかっこ悪いからか?別にいいだろ。つきあってるんだからよ、俺の前では可愛くて、エロくて、甘えん坊の子供でもよ」 「い、わなくていい…!!」 慌てて叫んだが遅かった。密かに隠していたことまですべて知られてしまって、俯く。耳まで熱くなっていて、どうしたらいいかわからない。悔しいけれど否定ができなくて。 「安心しろ、誰にも言わねえって」 「ほんと……?」 「ああ。手前の秘密は俺だけが知ってりゃいいんだ」 恐る恐る顔をあげると、最高の笑みを浮かべた後に軽く頬にキスを落とされる。俺だって、なんとなくわかっていた。シズちゃんが、誰にも言わないことぐらい。 俺の気持ちを知る為に、自宅に監禁したぐらいなのだから。独占欲は強い。それはきっと、他の人間には決して向かないものだと。 「だからよ、俺が手前を苛めるのに嵌っちまったことも…黙ってろよ?」 「…え?」 一瞬何の事か理解できなくて目を瞬かせていると、シズちゃんが首輪の鎖を掴み口の端を吊りあげ凶悪に笑んだ。 「また泣かせてやるからな」 終わりではなかったことに気づいて青ざめたけれど手遅れで、体の奥でシズちゃん自身がまた大きくなっていくのを感じて熱い吐息をこぼした。 ----------------------------- 桜架 様 シズイザ裏で、付き合っているのに素っ気ない態度を取る臨也に苛立った静雄が、臨也を苛める為、犯人が自分だとバレない様に臨也を誘拐する。 目隠し&拘束で混乱している臨也を薬&玩具等も使いながら無言のまま激しく犯す静雄。 激しい行為と誰とも分からない人に犯されている恐怖から臨也は泣いてしまい、静雄に助けを求める言葉を繰り返す。 そんな臨也にトキメキと罪悪感を感じた静雄は正体を明かして、お互いに自分の気持ちを暴露して最後は甘い。 リクエスト頂きありがとうございました! text top |