脅迫者 堕トサレル 5 | ナノ

激しすぎる行為のせいで眠っていた間に、体を綺麗にされていたらしい。目を覚ますとベッドの上で、首輪や手枷はそのままだが全裸になっていた。ほっと息をついていると、すぐに声が掛けられてハッとした。

「目覚めたか?射精せずにイっちまって気絶するなんて、いい具合に調教されてきてるな」
「…っ」
「そんな顔するな。随分と素直になってきてるみたいだし、そろそろ一気に堕としてやるよ」

唇を噛んではいたが、前みたいに反論する言葉は浮かんでこなかった。自分からこの男に縋ったことは覚えていて、それを言われたら終わりだったから。
相手は上機嫌に微笑みながらまた近づいてくる。次はどんなことをするのかと反射的に構えたが、真っ先に視界が塞がれて何も見えなくなってしまう。すぐに不安になった。

「あんたみたいな奴は、一度崩れると脆い。自分からセックスが気持ちいいことを認められれば、簡単だ」
「誰が…ッ!」
「でも意識はすぐに変えられない。だからまあ、強制的に変えてやることにしたんだ」

言いながらすぐ傍に男が寄ってくるのが気配でわかった。足は閉じられないのでそのままだが、腰を引こうとする。けれども体ではなく頭を動けないように掴まれて、何かヘッドフォンのようなものを耳に当てられる。
そのまま寝転がされれば少し重みのある機械のようなものが取りつけられているらしく、コードが首の後ろにふれた。今までとは何か違う、と必死に気配を探った。

「これは…」
「ちょっとした洗脳機械みたいなもんだ。まだ人体実験もあまり行われてないみたいで、手に入れるのに苦労したんだぜ。昨日までのあんたなら絶対効かなかっただろうが、今ならきっと大丈夫だ」
「洗脳、って…まさか人の意識をこんな機械ごときで変えられると思ってるのか?バカげてる」
「そんな大したもんじゃねえ。睡眠学習の応用だ。頭の中に言葉を叩きこんで、意識の深いところで覚えさせるっていう簡単なものだ。きっとこれ聞けば意味がわかるぜ」

突然非現実的なことを言いだしたので思わず笑ってやった。人を操る機械なんかに何ができるのか、と大げさにため息をついてみせる。
すると男がいきなり耳の後ろの機械を押し、カチッと何かが響いた。すると次の瞬間、想像以上の言葉が聞こえてきた。

『あっ、ひぁ、あ、ああ…!おち、んぽぉ…いっぱひっ、なか、だしてぇ!』
「う、るさ…っ、これ…!!」
「ちゃんと折原の声に合わせてあるだろ?すげえ色っぽい声だよな」

ヘッドフォンから聞こえてきたのは、間違いなく自分の声だった。だけど口調も、言っている内容もおかしすぎて体が震える。きっと元の音を変えて、わざと卑猥な言葉を俺の声に合わせて流しているだけだろう。
そう思うのに視界が塞がれていて何が起きるのもわからないので、少しだけ身震いした。過去に口走ったことだ、なんて言われたらショックを受けるだろう。しかしそれはなかった。

「さすがにこんなの一日中聞いてると、耳に残るだろ?忘れようとしても、意識的に覚えてるだろうしな」
「こんなこと、ぐらいで…っ、んぐ、ぅ!?」
「おっとしゃべるなよ。体にはいつも通りエロいことしてやるからな」

怒りを顕わにして叫ぼうとしたら、突然口内に何かを突き入れられて塞がれる。どうやら丸い玉みたいなもののようで、ベルトみたいなものが耳で括られて唇を閉じることができなくなる。
しゃべろうとすれば唾液が垂れそうになったので、慌てて喉の奥で飲みこんだ。こういう拘束具があることは、知っている。

『いっぱい、ざーめんぶちまけて!ほしい、っ、ぜんぶ…きもち、いい、のぉ』
「…っ、ふ」

相変わらず卑猥すぎる言葉が煩いぐらい聞こえていて、これは確かに耳に残ると思った。まるで自分の声のAVを流されているみたいだ、と感じる。
意識がヘッドフォンの声に向いている間に、体には冷たいローションが垂らされて後ろに指が突っ込まれる。口で呼吸ができないので、鼻から無様な吐息が漏れた。

「これであんたも、本当に終わりだ」

さおう言われた瞬間に異物が体の中に入ってきて、くぐもった悲鳴があがったけれどすぐにもっと淫らな声でかき消された。


『せっくす、するのいい…き、もちひぃ、あ、しあわせ、ぇ、あ、は!』
「んっ、うぅ…ふ、く」

どのぐらい時間が過ぎたのか感覚は麻痺している。だけど同じような言葉はもう数えきれないぐらい聞いていた。感極まった声があがる度に、呼応するように全身がビクビク震える。
目隠しで見えないが、体の至る所に玩具が張りつけられていた。両方の乳首の先と、性器に、体の中まで落ちないようにガムテープで固定されている。
それぞれが機械音を響かせて震えていて、時折気まぐれに振動が強くなる。これまでも何度かバイブの類を使われているので慣れているはずだったが、肌が汗でびっしょりと濡れていた。
快楽を与える新しい玩具が使われていたからだ。しかも俺自身が見えない上に、声さえまともに発することができないうちに入れられた。
怖いので実際入っているところを見たくない気持ちが強いが、媚薬入りローションを使われ徐々に拡張され挿入された。多分尿道に、そこを責める専用のバイブが。

『イっひゃ、ぁ、う、まら…だ、めぇ、あ、とまんな、いっ…あ、んああぁああ!!』
「ぐっ、うぅ、あ…ふっ、うぅ、んうぅうっ!!」

派手な声と同時に腰から下がビクビク跳ねた。しかし当然そこは玩具で塞がれているので射精はできない。代わりに吐き出すことなく、達してしまう。
口内のボールの隙間から唾液がどっと溢れて、だらだらとこぼれ落ちた。なかなかおさまらなくてふわふわと心地よさが漂っている間も、淫らな声は響く。

『き、もちよかったぁ…えっち、なこと、だいすきぃ…もう、ほかのこと、どうでもいいからぁ、みんな、いっぱいして』
「…ん、く」

声は複数の相手に懇願していて、放心状態の時に聞かされているのだから流されそうになってしまう。言葉を反芻するように、えっちなことがだいすきと頭の中で呟いた。
違う、と抗っていたのは最初だけだった。他の男の声は聞こえないし気配もわからない。別室で見られているのかもしれないし、目の前に居るのかも不明だ。

『ねえ、つぎはざーめんのましてぇ…せいえき、みるく、のむからぁ…んぁ、あ、おい、ひっ…ん、ちゅ、う』

本当に美味しそうに男の性器にしゃぶりつく想像が頭に浮かんで、微かに体が震える。水も飲まされてはいないので喉はカラカラに乾いていたし、潤したかった。
耳元で聞こえる歓喜の声に流されて、何でもいいから、精液でもいいからと考えてしまう。おかしいことだなんて、微塵も感じないぐらい麻痺していた。

『おれ、はぁ、おちんぽすきな、いんらんでへんたいなんれす、っ…あ、だから、ぁ、おしりになにか、いれてないとぉ、さみしい、からぁ』
「ふっ、ぐ、ぅ!?」

まるで声に反応するかのようにバイブの振動が急に強くなって、体の中から刺激を受ける。乳首も、性器も、中も、尿道もすべて責められて手枷についた鎖がジャラジャラ鳴るのが聞こえた。
どこもかしこも気持ちがよくて、確かにこれが抜かれたらきっと寂しくなるだろうなと思ってしまう。監禁されてずっと淫らなことをされてきた。だからこれはどうしようもないことなんだ。
シズちゃんにバレない為にしょうがないことなんだ、と必死に言い聞かせながら体が快楽を受け入れていく。堕ちたら脆いというのは、当たっていたかもしれない。

『あっ、ひぁ、あ、きたああ!おちんぽ、おっきぃのぉ、っ…ずぽずぽしてぇ、あ、おかされるのぉ、いい!もっと、もっと!!』
「んむっ、ぅ…ぅ、んぁ、う、っ、は…」

再び絶頂に向かってできる範囲で腰を揺らす。鋭い痛みが一瞬駆け巡ったが、すぐに心地よくなって背中が仰け反った。普段玩具を受け入れる箇所ではないところに入れられているのに、もう怖くはない。
責められ始めていた頃に感じていた恐怖はなくなった。きっとそれも、常に聞こえてくる嬉しそうな喘ぎ声のせいだ。気持ちいい、大好き、幸せ、おいしい。
すべてプラスの言葉を吐いているので、無意識にその気になってしまう。俺自身が相手に取り入って信者にさせる時なんか、同じような方法で言葉巧みに誘う。
知っているからこそ、効果もわかっている。弱っている所に優しい言葉を掛けられれば、間違ったことでも受け入れてしまうものなんだと。それは今の状況にも当てはまっている。
ただ優しい言葉ではなく、淫らな単語ばかりだったけれど。

『おれの、ことぉ…どれい、にしてぇ、ずっと、かってよぉ…なんでも、するからぁ、きもちい、ことして…すて、ないで』
「はっ、んっ、ぅ、ふ…はぁ、っ、ひぅ!」

必死に縋るのが哀れだと思ったのに、今では胸がズキズキ痛む。朦朧とした頭で、理解していたからだ。この機械が外された時、きっと同じようなことを誰に対しても口走ってしまうと。
最初はシズちゃんが好きなことを本人に知られたくなくて脅しに屈していたが、今はほとんどそのことを忘れている。どうでもいいと思ってさえいた。
元々告白するつもりもなかったし、知られたところできっと気持ち悪いと言われるだけだ。同姓を好きになったとはいえ、恋愛感情をほんの少し抱いていたのはシズちゃんだけだ。
だから同姓に襲われようが、好きになったりはしない。きっと今後も、激しく心を揺さぶられる相手は一人だけだ。例え体が求めても、好きになんかならないことだけははっきりしている。
男が好きになったわけじゃない。体が求める性欲に従って行動しているだけだから、という言い訳ばかりが頭に浮かんでいた。つまりそれは快楽に屈したということで。

『ひっ、あ、ああぁ!ぐちゃぐちゃにぃ、かきまわされ、て、るっ!もっとはげしく…んぁ、あ、う、わすれさせてぇ!!』

忘れさせて欲しいと懇願する訴えに切なくなって、同時に限界を迎える。あの男は俺の気持ちを全てわかっていた上で、こんな残酷な声を聞かせているんだなと納得する。
俺の負けだ。
少しの間だけでも、シズちゃんへの苦しい気持ちを忘れられるならなんでもすると本気で思っていたから。この深みからは一生抜け出せない、と悟った。

text top