fgo 小さな先輩 | ナノ







※2部5章ネタバレ注意





嘉先輩。藤丸です。失礼します。
先輩が俺のこと呼んでるって、マンドリカルドから聞きました。一体何の用事…えっ呼んでない?そう、ですか…え、相談?別に俺は何も……、何ですかその疑うような目!話します!話しますよ!あはは、やっぱり嘉先輩には敵わないですね。
嘉先輩、あれから体調の方は大丈夫ですか?…良かった、元気そうで何よりです。でも、無理はしないでください。あの時、アルテミスの宝具でカルデアが壊滅しかけて、先輩とマシュ達とバラバラになったじゃないですか。俺は、シャルロットに助けられて、オリオンに村まで案内されて、なんとかマシュ達と再会できたんですけど、先輩は皆と一緒に居ないからびっくりしましたよ、本当に。誰もが、嘉先輩の行方を知らないって言って、不安でした…死んだんじゃないかって、思って……いだだ!すみませんごめんなさい許してください!頭ぐりぐりするのやめ、いでででで!…はあ、でもこうして無事に話せて、俺本当に安心してるんですよ?だって、嘉先輩と再会した時、キリシュタリアに抱えられてたから、もう何がなんだか…確か、マシュと一緒で、クリプターと仲が良かったって、前にダ・ヴィンチちゃんから聞いたことあります。ちょっとだけ、ですけど。…え、キリシュタリアに抱えられていたこと聞かされてないんですか?あー、もしかして、アルテミスの宝具の時から、ずっと意識失っていたとか、かも知れないですね。まあ、俺よりもホームズさんあたりに事情を聞いてみたほうが…どうやって助けられたか、ですか?ああ、それは……あの人に、ドクターに、助けられたんです。俺だって、マシュだって、まだ信じられないですよ。でもあの人は、ドクターじゃ、ないんです。あんな、怖い目をしてる人はきっと、でも、キリシュタリアは“カルデアの者”って言ってて、…す、すみません!嘉先輩が、どう助けられたか、でしたよね。ええと、その人が突然現れて、キリシュタリアの魔術から俺たちを守ってくれて、同時に、キリシュタリアの腕から一瞬で俺たちのところまで連れてきてくれたんです…。本当に一瞬の出来事だったんで、最初はわからなかったんですけどね。感謝してます、あの人に…。
皆がキリシュタリアの魔術に耐えられなくて、瀕死の状態で、俺は立ち尽くしたままで、何も出来なくて、実力の差を見せつけられたような気がして、こう、マスターとして皆の役に立ててなかったんだなって、あの戦いで思ったんです。どうしたら、嘉先輩みたいに強くなれますかね……は、“羨ましい、私より活躍してる”って、いや、そんな事ないですよ!嘉先輩は、戦えますし、俺たちのことを守ってくれるじゃないですか。どうして先輩が悲しそうな顔して…、仕方ないですよ、だって先輩の魔力は特殊だから、回復とか、サーヴァントを召喚できないって、マシュ達、が……あ。…はい、なんか、なんとなくですけど、分かったような気がします。先輩も、悩んでたんですね。知らなかった。
俺、マスターなのに、間違っても良いんですかね。…え、どうして、嘉先輩は、間違ってなんかないですよ!ちゃんと自分の出来ることをやってるじゃないですか。ほら、適材適所、てやつですかね?あはは、はぁ…。今のままの俺でいい、焦る必要はない…そう、なんですかね。いっ!なんで急にデコピン!?……!
ありがとうございます。嘉先輩に相談したら、気持ちが大分楽になりました。嘘じゃないですよ、本当です。俺、まだ、マスターとしても全然駄目なままで、間違うこともあるかもしれないですけど、焦らずに、皆を支えていきたいです。頑張ります。じゃあ、明日に備えて寝ますね。おやすみなさい。嘉先輩。



駄目だ。ダメだだめだ。私、先輩なのに、藤丸くんを、皆を全然守れていないじゃないか。最悪だ。どうして、どうしていつも大事なときに意識をなくしてしまうのだろう。後輩に負担をかけさせてしまった。不安で、劣等感で、押し潰されそうな、そんな顔をする後輩はもう見たくないのに。カルデアのマスター候補として選ばれたのに、応急処置も、命令も出来ない、ただ魔力を奪うだけの役立たずが、今こうして戦っているのは、あの人のおかげで。召喚できたのだって、藤丸くんの魔力があったからこそなんだ。
藤丸くんを、マシュを、辛い目に合わせたくない。サーヴァントにも迷惑をかけたくない。
覚悟はできている。空想樹とクリプターを、あの人を止める。藤丸くんの言っていた“ドクター”がもしも悪であれば、殺す。これ以上カルデアの皆が消えていくのは、耐えられないから。笑顔で、平和な世界であれば良い。その為なら、守らなきゃ。助けなきゃ。殺さなきゃ。私は、わたしは、