観察日記

なまえに関する、

【習性その1】

「……ん」
「おはようございます」
「はよ……」

朝は日が昇って少しすると起き出す。
起きるのは早いが、寝起き自体はあまり良くないらしく、暫くは動かずにぼうっと外を眺める。
そのまま黙って寝台から起きあがり、のそのそと身支度を整え始める。
但し、思考はしっかりとしていないからか、あまり口を利く事は無いが、挨拶をすれば返ってくる程度には意識が覚醒している。
でも歩くときは手を引かないと壁にぶつかっていたので、それ以来手を引いて歩かなければならない。

【習性その2】

「……」
「……変な匂いでもしますか?」
「んーん」

食べ物を食べる前に匂いを嗅ぐ。
習性と言うか、癖である。
これに関しては行儀があまり良くないのでおいおい直していこうと思う。

【習性その3】

「ヤム、これ何?」
「ああ、それは――」

知的好奇心が旺盛である。
このおかげでなまえの学力はどんどん上がっている。
但し、その好奇心は勉強だけに限らない為、目を離すと危ない事をしている時がある。
あっちへふらふらこっちへふらふら――、

「ジャーファルさん!なまえが荷台に乗ったままどっか行きましたっ!」
「はぁ?!」

勘弁してほしい。
ちなみに詳しく聞けば、偶々食材の補給のために来ていた商人の荷台をなまえが発見。
その荷台に置いてある箱に何が入っているのか気になって、見ようと箱によじ登った所荷台が出発してしまった。
バランスを崩したなまえは箱の中にはいってしまい、そのまま運ばれたのだ。
結局は商人の家でお菓子を貰っていた所を発見された。
迷子札でも作ろうかと思う。

【習性その4】

昼食を食べた後、昼寝をする。
日向で薄い布に丸まって寝てる事が多く、少し遠くから見ると布の塊である。

「なまえー」
「……んむう」
「かーわいいなー」
「仕事してくださいシン」

偶に仕事をサボってでれでれした王がその隣に見られるので、そのまま王と一緒に執務室まで連れて行く事になる。

【習性その5】

「うーうー……」
「ほら、泡流しますよ」
「にが……」
「ぺってしなさい!」

石鹸が苦手で一人じゃ上手く風呂に入れない。
というか水が苦手な所もあるようだ。
それでも最近は幾分かましになって来てはいる。

【習性その6】

風呂上りにぶるぶる頭をふるわせる。

「……犬じゃないんですから……」
「わん」
「……」
「……ごめん」

なまえの水気はとれるけど、その代わりにこちらが濡れてしまう。
最近では少なくなったが、気を抜いた時にやってくるのでまだまだ気が抜けない。

【習性その7】

眠たくなってくると唇がもにょもにょと動く。

「眠いですか?」
「ん……」

こくりと頷いて、きゅうきゅう抱きついてくる。
それを抱き上げて寝台に寝かせれば、とろんとした目でこちらを見上げてきた。
寝台の端に座ってなまえの髪を撫でれば、ぽつぽつと今日会った事を話す。
どんな人に会った。
どんな物を見た。
どんな事を体験した。
そうして段々話している内に瞼が落ちてきて、しばらくすれば完全に夢の中。

「おやすみなさい、なまえ」

柔らかい額にそっと口づけをおとして、また明日。

7の習性。
(「ジャファー」「はい?……眠いんですか?」「え、何で解るの?!」「(口が動いてた……)」)


7400ヒット透様キリリク「マギシリーズ夢主の話」でした!
シリーズ夢主と言う事で、小さい時の話を。
小さい時の、と言うかヒロインの癖の話ですが(笑)
折角なので、他の夢主じゃ書けない話を!と思い、こうなりました。
小説と言うかジャーファル視点の観察日記ですね……大変楽しかったです←

透様、キリリクありがとうございました。
こんなの違う!等ありましたら遠慮なく申してくださいね!
本当にありがとうございました!

透様のみお持ち帰り可です。
20111001