木漏れ日の 宮廷の中庭、中央に小さい水場、周りを木々で囲まれたそこでなまえはよく昼寝をする。 例えば休日の昼さがりだとか、仕事休憩の仮眠でだとか。 大きな木の下、太い幹に背を預けて、遠くに人の声を、近くで葉の擦れる音を聞きながら瞼を閉じる。 大鐘に近いそこはそれの音で目を覚ます事ができるので、寝過ぎる事も無い。 人もあまり来ない。 そして、なまえは何時もの通り其処にいた。 昨夜は謝肉祭だったので、片付けなども有り夜遅くまで起きていたせいである。 序に仕事は午前中で全て終わらせてある。 今日は暑すぎず寒すぎず、とても良い日だ。 なまえはぐっと伸びをすると、うとうとと意識を落として行った。 「――うん?」 ずしり、と膝に確かな重みを感じて瞼を上げる。 ぼんやりと視線を落とせば、膝にアラジンが、その後ろにおろおろしたモルジアナがいた。 目が合うと、困った様に眉を下げたモルジアナに、にこりと笑いかける。 恐らく、起こしてしまったと思っているのだろうが、気にしなくてもいいと言う様に笑うとほっとしたように息を吐いた。 「モルちゃんは座らないの?」 ぽんぽんと自分の隣に誘えば、少し躊躇した後、大人しく其処に座る。 自分より少し低いその子を見て、何となく昔の自分を回顧してしまう。 「モルちゃん何歳だっけ?」 「え」 唐突な問いに、モルジアナは首を傾げるが、14です、と素直に答えた。 それになまえは若いね、と笑う。 「そんな……」 「しっかりしてるし、すごいね。いいこいいこ」 「……なまえさんは、どんな子でした?」 「私?……どんな子だったかなぁ」 確かシャルとピスティとよく遊んでた気がする。 そう言えば、昔から仲が良いんですね、と頷かれた。 それにまあね、と笑って、君たちも仲が良いから見てるとこんなのだったのかなって思うよ、と頭を撫でた。 少し擽ったそうに、それでも大人しく撫でられるモルジアナにほっこりと暖かくなる。 時折通る風が木々を揺らして音を立てた。 そういえば昨夜は謝肉祭で遅くまで起きていたから、眠いのかもしれない、と膝で眠るアラジンの髪を撫でる。 さらさらとした指通りが気持ちいい。 暫く髪を弄っていると、アラジンが身を捩ったので起きたのか、と手を離す。 が、少し体制を変えると又静かに眠り続ける。 その姿を見ているとこちらまで眠たくなってくる。 さっき寝たばかりだと言うのに。 「良い天気だねー」 「そうですね」 「モルちゃんは眠くない?」 「大丈夫です」 「そっか。でも昨日遅くまで起きてただろうし、あんまり無理しちゃいけないよ」 「はい。……なまえさんは」 「んん?」 「いつも此処で寝てるんですか」 「毎日では無いけどね。仮眠とかよく此処でするよ」 欠伸を噛み殺しながら言えば、モルジアナはそうなんですか、と呟く様に言って黙った。 元々雄弁な子ではないし、この沈黙が居心地の悪いものでは決してないのでなまえも口を閉じて空を見上げる。 と、後の一人は何処に行ったのだろうとくるりと見回すと、少し向こうから布を持って走ってくるのが見えた。 「あ、」 なまえが起きてるのを見て声を上げようとするアリババに、なまえは人差し指を唇にあててそれを抑えた。 アリババもアラジンが寝ているのを見て、足音を抑える。 「寝ちゃったんですね」 「みたい」 「重くないですか?」 「平気だよ」 ふと手に持っていた布を見て首を傾げると、アリババは、 「なまえさんが風邪ひくといけないと思って」 起しちゃったみたいですけど、と苦笑してアラジンを起こそうとしゃがみ込む。 なまえはそれをゆるりとした動作で止めると、 「起こさなくていいよ」 「え、でも」 「今日は私ももう仕事終わりだからさ、このままゆっくり寝かせてあげよう」 「……なまえさんがいいなら」 「いいよー。さ、アリババ君も此処に座りなさいな」 そう言ってモルジアナが座っている方とは反対側の芝生を叩いた。 アリババが座ったのを見ると、なまえはアラジンを起こさない様に抱え上げて膝に座らせる。 そしてアリババが持ってきてくれた布を広げると、全員の膝にかかる様に広げた。 「折角アリババ君が持ってきてくれたし、今日は良い天気だし」 このままみんなでお昼寝しようか、と笑えば、可愛くて暖かな笑顔が返ってくるのだ。 木漏れ日の午睡。 (「……」「マスルール何見て……ああ、又こんな所で寝て……」) みのり様キリリクで、「信号機組とヒロインでほのぼの」です。 お昼寝を書こう!と決めていたのですが、ほのぼのになってますでしょうか。 私の中では精一杯のほのぼのです← 最後はマスルールとジャーファル。 この後起こすのもかわいそうなので二人が運んでくれます。 しかしアラジンが寝ているだけで申し訳ないです……。 あ、後中庭の描写は完璧捏造です。 こんな庭があったらいいなーと。 みのり様、リクエストありがとうございました! もしこんなの違う、書き直して!等の苦情がありましたらどうぞ! 書き直しさせていただきますので(^^;) みのり様のみお持ち帰り可です。 20110906 |