眉薬 他

LoveSick


朝食を食べる為、食堂へ行くとテーブルの上に紙切れが一枚置いてあった。

いつも厨房で飯を作ってくれているおばちゃん達の姿は何処にも無く、辺りはシンと静まり返っている。

仕方なくその紙を開いてみると、其処に衝撃的な事実が書いてあった。

「なんだ、こりゃ」

「おい、どうした?」

「温泉旅行に行くから飯は冷蔵庫の物をチンしろ……だとよ」

後ろからやってきた眉村に紙切れを渡し、机にもたれかかる。

眉村は一瞬眉を顰め、そして何食わぬ顔でその紙切れをテーブルに置いた。

「おい、驚かないのか?」

「別に……。まぁ、連休で寮に残っている生徒も少ない。 そう驚く事でもないだろ
う」

いつもとさほど変わらない様子で、厨房に入ると冷蔵庫を開けて中身をチェックする。

たくっ、確かにそうだが少しくらい驚けよ。

焦っていたのが何となく馬鹿らしくなって、淡々と厨房を物色するヤツの姿を眺める。

「なんかあったか」

「あぁ、一応人数分の飯は用意してくれてるみたいだ」

「そっか、じゃぁ俺、他のやつら呼んでくるから、お前はそれ温めておいてくれ」

食堂のおばちゃんがいないとなれば、仕方がない。

俺はヤツの返事を待たずに食堂を後にした。

まぁ、レンジでチンくらい誰でも出来るしな。


それが、俺の最大の誤算だった。


/ススム




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