吾郎くんがアメリカへ行って早1ヶ月。
僕も順調に入寮し、ウォリヤーズの宮崎キャンプに参加していた。
連日わざわざ宮崎まで追いかけてくれる女の子達やプレゼントを贈ってくれる子達。
僕のことを注目してくれるのは嬉しいけど、一番僕の近況を知って欲しい人からは何の連絡もなくて正直落ち込んでいた。
「おい、佐藤! お前、またこんなとこにいたのか。あんま無茶するなよ、ほら」
トレーニングルームで鍛えていると、必ずといっていいほど誰かしら声を掛けてきてくれる。
今も青田さんが僕の側に来て、スポーツドリンクを差し出してくれた。
「ありがとうございます」
それを受け取り口を付ける。
汗をかいた身体には凄く心地いい。
ゴクゴクと飲み干しているとふと視線を感じた。
「青田さん? どうか、しました?」
じーっと、僕を見つめている青田さん。
声をかけると慌てて視線をそらした。
「わ、悪いっ。なんでもねぇんだ。それより……お前宛にプレゼントが届いてたぜ?」
「えっ、またですか」
青田さんについていくと、確かに大きな包みが、どーんと置いてあった。
「あけてみろよ」
「部屋であけます」
「いいじゃねぇか、見せてみろって。それとも先輩の言うことが聞けないってのか?」
面白半分に行ってたのがわかって、ムッとしてたけど、ソコはやっぱり言うことを聞かないと。
僕はまだ下っ端だから。
僕が袋に手をかけた瞬間、今度は後ろから声を掛けられた。
「おっ、何やってんだ?」
「今から佐藤に届いたプレゼントの中身見せてもらうんだよ」
「何っ!? お前〜ルーキーのクセに毎日プレゼント貰うなんて生意気だなぁ」
「うわっ止めて下さいよ、岩井さん」
後ろから圧し掛かるようにして頭をクシャクシャッと撫で回される。
可愛がってくれるのは嬉しいけど、こういうのはちょっと。
「おいおい、早く開けて見せろよ」
いつの間にか周囲には先輩達が僕を取り囲むように集まっていて、やんややんやとはやし立てる。
「んじゃぁ、俺が一緒にあけてやろう」
「えっ!?」
あっ! と思った時にはもう既に僕の手の上に岩井さんの手が重なってシュルシュルッと紐を解きだしていた。
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