眉薬 他
LoveSick
今日の体育の授業は柔道。
みんなテンションがかなり低い中で浮かれている男が一人。
「佐藤のヤツ、妙に浮かれてるな……なんかあったのか?」
「知らねぇよ。朝からああなんだよ」
薬師寺と、吾郎は遠巻きに彼を見ながらヒソヒソと話をしていた。
珍しい合同体育で、男子だけが柔道。女子はダンスをしている。
(吾郎君を堂々と床にねじ伏せれるなんて……なんていいスポーツなんだ)
寿也は、朝からこの授業が楽しみで仕方がなかった。
ちらりと柔道着姿の彼に目をやれば、あわせの隙間から白い肌が見えてごくりと喉がなる。
「吾郎君、今日はよろしく」
「なんか、すっげぇよろしくされたくねぇのは……俺だけ?」
つかつかと歩み寄り、舐めるように見られ、思わず背中に冷たい汗が流れる。
(あーあ、寝技の試合なんか、無きゃいいのに)
先生が決めたこととはいえ、かなりブルーだ。
柔道の授業を始めてから半年。
週一の授業で、とりあえず基本である、受身と寝技を教わって、今日それを実践でやってみることになっているのだ。
前/ススム