なんでも願いのかなう不思議なランプがあるらしい。
そんな話を小耳に挟んだ。
別にそんな御伽噺信じるつもりはさらさら無い。
そもそも、なんでも願いが叶う魔法のランプなんて胡散臭い事この上ない。
「ふんっ、くだらねぇ」
高校生にもなってそんなくだらない話に花を咲かせている児玉達の横を溜息混じりに通り過ぎた。
今日は眉村と買い物に行く予定になっていた。
あいつは案外時間に厳しいから遅れると色々面倒だ。
俺は足早に寮を出ると待ち合わせ場所へとチャリを走らせた。
眉村はなんか用事があるとかで一足先に外出してしまている。
「悪い、遅くなっちまった」
待ち合わせの3分前、見知った姿を見つけ声を掛ける。
「いや、俺も今来たところだ」
そう言ってスクっと立ち上がる。
眉村は手際よくウォークマンを片づけるとゆっくりと歩き出した。
元々無口なヤツだ。会話が弾むわけもない。
ただ黙って俺の隣に並んで歩く。
この無言にもだいぶ慣れたってヤツだが周りから見たら少しおかしな光景かもしれない。
男子高校生が二人肩を並べて黙々と歩いてる姿って言うのは……。
目的の店に着くとふと隣に見知らぬ骨董品屋がある事に気がついた。
「こんな店、前からあったか?」
「さぁな」
眉村も肩を竦め、知らないと合図する。
だが何か気になるものがあるのか店の方をジッと見つめている。
そこで、ふと先ほどのランプの話を思い出した。
「そういやさ、今日おかしなランプの話を聞いたぜ」
「ランプ?」
「なんでも願いのかなう魔法のランプなんだと、この辺りの骨董屋に置いてあるとかなんとか言ってたな」
「ランプと言うのはこれの事か?」
「え?」
眉村の指さす先に、確かに怪しげに煤けたランプがあった。
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