眉薬 他
LoveSick
眉村が熱を出した。
夕べから寒気がするとか言ってずっとベッドに横になってる。
こんな時期に風邪なんてあいつも案外デリケートに出来てたんだな。
「大丈夫か?」
学校が終わって練習に行く前に顔を見に行くと熱に浮かされて心なしか潤んでる瞳で俺を見上げる。
「心配してくれるのか」
「ばかっ、そんなんじゃねぇ。お前みたいな怪物が寝込んでるって言うとみんなが様子はどうなんだとかって聞いて来るから仕方なくだ!」
思わずそっぽを向くと布団の中で眉村が小さく笑ったような気がした。
「とにかく、今日は大人しくしてろ」
「あぁ」
かなり後ろ髪を引かれる思いがしたが練習に遅れるわけにはいかないので乱れた布団を掛け直してドアへと向かう。
「薬師寺……」
「ん? なんだ?」
か細い声に呼び止められて振り向くと眉村が起き上がってジッとこちらを見ていた。
「ありがとう。心配かけてすまない」
眉村らしからぬ言葉に、一瞬反応が遅れる。
「だから、俺はお前の心配なんかしてないっ!」
感謝の気持ちを述べられたのに妙な気恥かしさを覚え、俺は急いで部屋を出た。
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