プロになって初めてのシーズンも終わり、俺は寮を出て実家でオフを過ごしていた。
慌ただしく過ぎて行ったシーズン中とは違い、ぽっかりとあいた休みは退屈で、どうやって時間を潰そうかと考える。
久々に連絡した眉村は最近何か用事があるらしく、誘ってもいつも断られる。
あいつ一体何をやってんだろう……。
ディスプレイに表示させた眉村の文字を眺め、短く息を吐くとサイドボードに携帯を置いてベッドに寝転がった。
そういえば、あいつにプライベートで最後に会ったのはいつだったか……。
確か夏に花火を見たような気もするが……お互い試合日程も合わなかったし、うちのチームはリーグ優勝やなんだかんだで忙しくて連絡する暇なかったんだよな。
そんなに長い事会っていなかったのだと、改めて気付かされ急に寂しさが込み上げてくる。
アイツは俺に会えなくて寂しくないのか?
……ハハっ、アイツはそんなタマじゃねーか。
チラリともう一度携帯に視線を移したその時……!
滅多に鳴らない携帯が鳴り出した。
咄嗟にそれを手に取り高鳴る鼓動を抑えつつ携帯を耳に押し当てる。
「よぉ! 薬師寺。 お前、今夜暇〜?」
「は、原田さん……」
電話の相手は同じチームの先輩で、思わず拍子抜けしてしまう。
「なんだよ、その声。 彼女からの電話でも待ってたのか?」
「まさか。俺に彼女なんかいないですよ」
「ハハっ、そーだよな」
図星を突かれ一瞬ドキリとしたが、それを悟られないように平静を装う。
実際は彼女じゃなくて彼氏なんだが、この際それはどうでもいい。
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