眉薬 他
LoveSick
眉村って、お坊ちゃんだったのか。
でけぇ家の表札には立派な眉村家の表札。
洋風のその門をくぐると広い庭があって、でけぇ犬が数匹眉村に走り寄ってくる。
その頭を優しく撫でる。
表情が緩んで、寮で見たことも無いくらいの優しい顔。
初めて見るその表情に俺は不覚にもドキッとしてしまった。
庭も広かったが、家の中はもっと広かった。
ただ、両親は居ないらしく、ひっそりとしている。
「上の手前が俺の部屋だから、先に上がっといてくれ」
「あ、ああ。わかった」
トントンと階段を上って、ドキドキしながら部屋を開ける。
全体的に落ち着いた印象の部屋は、なんとなく眉村らしい。
ベッドも机もたんすも黒に近いブラウン。
きちんと整理されてる部屋はきっと、お袋さんが片付けてくれてるんだろう。
何気なく、机に向かって勉強してる小さい頃の眉村を想像したら可笑しくなった。
と、そこで机の上に飾られてる置物に目が行って、俺は絶句した。
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