「ぶわっははははっ! 宇宙人!! あはははっ……すげえおかしいっ……あっはっはっは」
「……」
ゲラゲラ腹を抱えて笑う茂野と、眉間に皺を作って思いっきり仏頂面してる眉村。
怒ってるよな?
やっぱり。
「薬師寺、ちょっと来い」
低い声で呼ばれ、覚悟はしてたが肩が反射的にびくついた。
今逆らうと色々後が怖いから俺は黙って眉村についていくことにした。
ミーティングルームを抜けて人気のない面会室へ。
部屋に入るなり重たい沈黙が続く。
「悪かったよ。その、夢の話なんだからそんなに怒るな」
「……」
「なぁ、悪かったっつってんだろ」
「お前……俺のこと、スキか?」
予想してなかった眉村の言葉。
俺の思考回路は一瞬停止してしまっていた。
「な、なんだよ突然」
「いいから答えろ。好きなのか? 嫌いなのか?」
「……嫌いじゃねぇよ」
「それじゃ答えになってない」
「なんだよ! 嫌いじゃないっつってんだから、いいだろ! てか、俺が好きでもない
やつと寝ると思ってんのか!?」
「……」
嫌いだったら、毎晩お前の相手なんかしてないっつーの!
眉村は、また黙り込んで、ジッと俺を見つめた。
今度は、何だよ。
「本当に好きなら、キスしてくれ」
「は? 何言ってんだ眉村……?」
キスなんて、いっつも嫌ってくらいやってんじゃねぇか。
「いつも、俺からだからな。不安なんだ……しかも、人を宇宙人呼ばわりして」
あぁなんだ、やっぱ傷ついてたのか。
だよなぁ、あれはちょっとまずかったよな。
「しかたねぇ、キスだけだぞ」
「ああ」
頬をなでると、形のいい眉がヒクリと動く。
いつもされてばっかだから……逆に自分からすると思うと、いつもよりドキドキする。
息がかかるくらいすぐ近くに唇が見えて、一度軽く深呼吸をした。
そうしないと心臓がバクバク言ってて酸欠になりそうだったから。
「好きだ……健」
思い切って自分の正直な気持ちを言って、首に腕を回して口付けた。
眉村の腕も俺を強く抱きしめてて、鼓動がさらに早くなる。
「ン……ふぁ……健、ちょっと待て! 膝に力が……」
「なんだ、たったコレだけで感じたのか?」
「う、うるさいっ!」
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