眉薬 他
LoveSick
よぉ、薬師寺〜! この間借りてたCD返しに来たぜ!」
「!!!!」
バァン!
勢いよく開いたドア。
俺は慌てて眉村を突き飛ばした。
気まずい沈黙。
「ハハッ、邪魔したな」
頬を引きつらせ、スーッとドアが閉じられる。
「見られたな。米倉に……」
「……」
「まぁ、本番を見られたわけじゃないんだ、構わんだろう」
ふぅっ、と息をついて、再び立ち上がると何事も無かったように腰に腕を回してくる。
「構うに決まってんだろうが! ドアの鍵は常に閉めておけと言ってるじゃねぇかぁあ
あ!!」
「ハグゥッ!!」
鈍い音がして、俺の拳がヤツの顎にクリティカルヒット。
いつでも何処でも盛ろうとする万年発情期男に、思わず溜息が洩れる。
惚れた弱みと言えば、それまでだが……。
俺の苦悩はまだ当分続きそうだ。
前/ススム