あっ! と思ったときにはもう、俺はあいつの腕の中にすっぽりと納まっちまっていた。
「お、おいっ……離せ!」
「もう少しだけいいだろ?」
切なそうな声色で尋ねられて、真っ直ぐに見つめられる。
早く帰らねぇといけないのはわかってた。
だけど全然身体が言うことをきかなくって視線を逸らすことも出来ずに、眉村のぬくもりを感じた。
心臓がドキドキドキとありえないくらい早くて、俺がそうさせてるのかと思うとなんとなく可笑しかった。
「久々に会ったんだ。今夜は離したくない」
「……」
熱っぽく囁かれてなんだか俺まで緊張してきちまった。
「ま、眉村?」
頬を撫でられると、身体がピクッっと反応しちまう。
そのうちにだんだん顔が近づいてきて俺は焦った。
「なっ、ちょっタンマ」
「なんだ?」
「なんだ? じゃねぇよ! こんなトコ人に見られたらどうす……! んんっ」
俺の話を聞いてないのは相変わらずで、強引に唇を奪われた。
久々の口付けは熱くて、触れているだけで蕩けそうだった。
そんなキスされたら俺――。
忘れかけてた熱が身体を熱くする。
背中に腕を回してキスに答えると、眉村がゆっくりと唇を離した。
「こんなトコで……盛ったら承知しねぇからな!」
「わかってる……誰にも会わないところだったら……いいのか?」
「……!」
確認するように尋ねてくる眉村。
長い間の沈黙。
明日も試合があるからとか、早くかえらねぇとマズイよなとか、いろんな思いが頭をよぎる。
だけど結局、強がってみてもコイツの前では無駄な事で……。
俺は返事の変わりにもう一度口付けた。
その後は……わかるだろ?
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