眉薬 他

LoveSick


二アウトランナーなしでプロになって初めてのアイツとのマウンド対決。

高校時代、紅白戦では何度も打ってきたアイツの球は、卒業後さらにキレと精度を上げて抉るように内側に切り込んでくる。

結構粘ったが結局ノーヒット。

俺がバットを持ってベンチに戻るときあいつの口元が僅かに笑った気がした。

眉村という起爆剤を手に入れた横浜は勢いづいて七回裏に一点を先制。

残すところ後二回になっちまった。この一点を何とかしなくちゃな!

さっきのムカツク笑いや、昨日のメールのことが頭から離れねぇ。

絶対打ってあいつの鼻をあかしてやる!

次に打席に立ったとき、ワンアウト一、二塁。

ココで打てばひょっとしたら点が入るかもしれない。

目の前には不敵な顔をしてる眉村。

フン、絶対負けねぇ。

気合が入っているのはお互い様のようで初球から鋭いフォークボールにバットが虚しく空を切る。

何とか粘ったが、カットするのが精一杯だ。

そこうしているうちに互いに息も上がり、フルカウントに。

どっちにしろ次で決めなきゃいけねぇ。

「うぉぉぉぉっ!」

渾身の力で投げられたボールを、俺はフルスイング。

ッキーーーーーン!

響き渡る金属音と同時に俺は全力疾走した。

フライになるかと思われた打球は敵のエラーも重なって、記録は三ベースヒット。


俺が回ってる間にランナー二人が帰って、試合は一気に逆転。

呆然としている眉村と目が合って鼻で笑ってやった。

結局試合は、そのままコレが決勝点になって俺たちの勝利。

眉村の連勝記録もストップさせてやった。

/ススム




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