眉薬 他
LoveSick
そう呟くと、適当なファーストフード店に足を踏み入れた。
「やっぱ混んでるな」
「当然だろう」
店に入ると幸いテーブルが一つ空いていて、そこに荷物を置くと注文するために列に並ぶ。
あまり人ごみは好きではないが、コレばかりは仕方ないと苦笑した。
適当に注文したものをトレーに乗せて席に戻ると、見知らぬ女が二人眉村と話をしていた。
「よぉ、持って来てやったぜ。知り合いか?」
チラリと視線をやると、ニコニコと挨拶をしてくる。
それを愛想笑いでかわすとどういうことだとばかりに眉村を睨み付けた。
「席が無いから一緒していいですかと言われたんだ」
「で、オッケーしたのかよ」
そう尋ねると黙ってコクリと頷いた。
「あたしたち、迷惑でした?」
「えっ!? いや、別に。席がねぇんじゃ、しょうがねぇし」
本当は嫌だと言いたい所だがそれをいえない自分に密かにため息を吐く。
彼女達のおしゃべりに半ばうんざりしながら愛想笑いを浮かべ、買ってきたポテトをパクパクと口に頬張る。
こんなことなら、気にせずホテルのディナーでも予約すればよかったか。
などと考え、二人きりで過ごすクリスマスの予定が音を立てて崩れていくのを感じた。
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