眉薬 他

LoveSick


鼻を強く殴打したらしい眉村が手を離した隙に、俺はゆっくりとはしごを降りて備え付けのミニ冷蔵庫からよく冷えたポカリを取り出す。

そのままラッパ飲みすると、火照った身体に冷たい飲料が染み渡って、幾分か体感温度を低くさせた(ような気がした)。

さて、兎にも角にも季節の寝不足は、甲子園を目指す俺たちにとって大敵だ。

寝不足が引き起こす弊害は、耳にタコが出来るほど監督に言われているから、なんとしてでも寝なくてはいけない。

まぁ、考えても答えが見つかるわけねぇから、取り合えず横になるか。

上は眉村が寝ているため、俺は仕方なく空いている眉村のベッドへ。

こんな蒸し暑い空気でも、やはり体温に晒されていなかった分、布団がひんやりと心地よく感じた。

備え付けの枕からは、ほんのりと眉村の残り香が。

――あ、なんか落ち着くかも……。

だんだんと重くなっていく瞼。

知らず知らずのうちに、俺は夢の世界へと旅立っていった。




/ススム




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