眉薬 他
LoveSick
一通り部屋に残っていた奴等に声をかけて戻ってくると、其処には人だかりが出来てきた。
「何やってんだ、早く食えばいいだろう?」
不思議に思って近づくとなんだか妙に焦げ臭い。
「!?」
「薬師寺〜、コレ……食うのかよ」
げんなりした顔つきの渡嘉敷。
流石に何かおかしいと思い、テーブルの上を覗いて見ると、真ん中に真っ黒くプスプスと音を立てて焦げ付いた謎の物体が!
「おい、眉村! コレはどう言う事だ!?」
慌てて厨房に駆けつけた俺は、思わず我が目を疑ってしまった。
「なんだ? 言われた通りレンジであたためているだけだぞ。 何故か焦げ付いてしまっているが」
「……お前……それ、レンジじゃなくてオーブンだぞ……」
一体どうやったら間違うって言うんだ。
何故か焦げ付いてるって、最初の段階で気付けよ。
思わず頬が引きつり脱力する。
「まさか、レンジ使った事ねぇとか言うんじゃないよな?」
「ない。 うちにレンジなんて物は無いからな」
「……マジかよ」
はっきりと即答されて、目の前が一瞬暗くなる。
前々から普通のヤツとはどっか違うし、いいとこのぼっちゃんじゃねぇかって思ってたけど、まさかココまでとは……。
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