クソッ・・・このパンダの所為だっ!
思わず八つ当たりをしてしまい、思いっきりパンダを袋ごと壁に投げつける。
バサッと言う音とともにベッドに落下したパンダ。
袋の中には人形と一緒に手紙が入っていた。
「……」
何気なくそれを拾い上げてハッとした。
しゃれっ気のないその封筒。
とても女の子とは思えないほどの雑な文字。
でも、はっきりと「寿也へ」と書かれたその文字に僕は見覚えがあった。
吾郎くんからだ!!
慌てて中を確認すると、それはやっぱりアメリカにいる彼からのもので、胸が締め付けられるほど熱くなった。
今までの近況やこれからの目標が書かれたそれを見て、元気にやっているんだとホッとした。
でも、文面の最後にあった言葉。
一人寝が寂しいといけないから……これを俺だと思えって。
「吾郎くんの……バカっ」
遠くに離れていても僕のことを思っていてくれる、その気持ちが純粋に嬉しかった。
思わずさっき投げつけたパンダを拾い上げそっと抱きしめる。
吾郎くんは、このパンダをどんな顔して買ったんだろう
想像するとちょっとおかしい。
「吾郎くん〜、パンダじゃなくて君に逢いたいのに」
パンダを抱きしめながら切なさに浸っているといきなりバンッとドアが開いた。
「佐藤、さっきは悪かったな……みんな悪気があったわけじゃ……って……アレ?」
「あ、青田さんっ!?」
抱きしめていたパンダを手放す暇すらなく、僕らの間にしばしの沈黙。
あぁ。しばらくは、僕がパンダを抱きしめていたって言う話でからかわれるんだろうな。
容易にそんなシーンが想像できて、僕はひっそりとため息をついた。
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