「おぉ〜、いいなぁ岩井のヤツ。佐藤の手握りやがった」
「くっそ、手がはえぇな。佐藤・・お前食われんなよ」
「はぁ!? 何言ってるんですか先輩達」
「ハハッ これから何度もバッテリー組むんだからこの位はいいだろ? なぁ、佐藤」
そう聞かれて返事をしようと思った矢先、振り向いた僕の耳に生暖かい息をふぅっと吹きかけられた。
「っ!?」
途端にゾクッとして肩が震えた。
「おっ、いい反応」
「や、止めて下さい、岩井さんっ!」
面白半分にやられると、正直言って腹が立つ。
こんなこと……吾郎くん以外の人にしたくも、されたくないのに。
「おいおい、何やってんだ。早くあけてみせろよ」
周りには幸い気づかれていないようだった。
慌ててその場を誤魔化すために袋を開けると中から出てきたのは……。
「パ、パンダ」
「ぶっ……ワッハッハッハ! ヌイグルミなんて可愛い佐藤にはお似合いじゃねぇか」
一気にその場が笑いのムードに包まれる。
「・・・・・・っ、やめてくださいっ!!」
笑われた悔しさと、今まで溜め込んできたものが一気にこみ上げてきて思わず大声を張り上げる。
しんっと、一気に静まり返った周りをみてハッとした。
「す、すみません。ちょっと頭冷やしてきます」
いても立ってもいられなくなって、僕は逃げるようにその場を後にした。
誰も居ない僕の部屋・・・唯一安らげる場所。
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