(ち・・・乳首が見えてるっ・・・)
「・・・・・って、おいおい、市原、鼻血!」
いかがわしい妄想をしてしまい、戦意喪失。
薬師寺は不戦勝で3回戦に突入した。
(・・・俺、なんで変なヤツばかり当たるんだよ・・・)
眉間にしわを寄せ、次の相手を待っていると、なんと次は眉村だった。
「・・・・よろしくな」
「あ?・・・ああ」
(なに、うれしそぉに鼻ヒクつかせてんだよ!)
なんとなく、嫌な気分になりながら背中を合わせる。
開始の合図とともに、眉村は流れるような動きで薬師寺を組み敷いた。
だが、彼も負けじと身体を捩じらせて、何とか逃れようとする。
じたばたともがいているうちに、気が付けば薬師寺の首に足が絡まってきて、押さえ込まれる形になった。
(うっ・・・これ、69みたいな状況がすっげぇ・・・嫌だ)
ちょうど口の部分に思いっきり股の部分があって、さらに暴れていると、足の付け根をサワサワ撫でられ、悪寒がした。
「どわぁっ! 止めろ眉村!! ギブギブ!!」
堪らず、畳を叩いてギブアップすると、眉村はチッと舌打ちした。
「・・・をい、今・・・舌打ちしやがったな!?」
「・・・当然だ。あんなオイシイ場面、部屋でも出来んからな」
平然と表情ひとつ変えずに言われ、こめかみが引きつった。
「今度やってみるか?」
「・・・・なにをだよ?」
「69」
「や、・・・やるわけねぇだろ! このヘンタイ!!」
思いっきり、平手打ちを食らわせて、寿也たちの元へと駆け寄る。
「今、すっげーいい音としたけど、なんかあったのか」
「・・・なんでもねぇよ」
ぷいっとそっぽを向く薬師寺に、また痴話げんかか・・・と吾郎と寿也は顔を見合わせた。
「それより、寿也・・・お前と、眉村で決勝だな。・・まぁ、がんばれよ」
ホワイトボードに書かれている名前を見て、寿也はゆるく息を吐いた。
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