吾郎は慌ててうつ伏せになり、身体を亀のように縮こまらせた。
寿也はその身体に覆いかぶさるように乗り、わきの下から手を入れてわざと服の隙間に手を滑り込ませた。
「・・・うっ・・・ちょっ・・・寿っ」
技を掛けるフリをしながらダイレクトに胸の突起に刺激を与えると、吾郎は必死に抵抗しようとした。
「や・・・っ・・止めろよっ・・・変なとこ、さわんなっ!」
じたばたもがけばもがくほど執拗に触られて、全神経が寿也の手に集中する。
周りから見れば、ただ固め技を決められそうになってもがいているようにしか見えず、寿也は明らかにその状況を愉しんでいた。
「もう、ギブすれば?」
「ば・・っか。誰が、ギブするかよ!」
「ふーん、そっか・・・」
「ひぃゃっ」
ぎゅっと突起を思いっきりつねれば、吾郎の身体が弾かれたように跳ねた。
その隙に彼の右わき腹に頭を入れて道着を引き腰を浮かせると、身体を反転させて肩と股間の間に手を差し込み体重を掛けて、押さえつける。
横四方固めという技で、これが中々がっしりと押さえ込まれると抜け出すことが出来ない。
しかも吾郎は、先ほどの寿也が与えた刺激にしっかりと反応してしまっていて動くことが出来ないでいた。
「あっれー? 反撃しないの」
(う"ー・・・っ、むりだっつーの!!)
くすくす笑う寿也に、吾郎は顔をトマトのように真っ赤に染めながら、あっけなくカウントを取られ負けが決定した。
「寿がやらしいことするからだぞ!」
「何言ってるのさ。僕はちゃんと技を決めようとしただけなのに、勝手に感じちゃったのは吾郎君だろ」
「う"ー・・・っ」
試合後、体育館の隅で蹲る吾郎に寿也はくすくす笑った。
「ほんっとうに、吾郎君はエッチだよね」
「お前のせいだって言ってんだろ!」
「はいはい・・・」
楽しそうに笑う寿也と、顔を真っ赤にしている吾郎を見てクラスメイト達は首をかしげるのだった。
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